Photo by Getty Images

米中対立の裏で安倍政権が対米交渉の命運を託した「キーマン」の名前

世耕大臣の欧米に随行

「米中全面決裂」が回避された事情

当初予定を1日延長して1月7~9日までの3日間、中国・北京で開催された次官級の米中貿易協議は、懸念された全面決裂に至らず、中国による米国産農産品やエネルギー製品の輸入大幅拡大で決着した。

米中貿易協議出席者は次の通り。米国代表団:団長のジェフリー・ゲリッシュ米通商代表部(USTR)次席代表以下、デビッド・マルパス財務次官(国際通商・財務担当)、テッド・ミッキニー農務次官(貿易担当)、ギルバート・カプラン商務次官(国際貿易担当)ら。中国代表団:団長の王受文商務次官(国際貿易担当)以下、何立峰国家発展改革委員会主任を始めとする農業農村省など各省(部)、各委員会の次官級らだった。

米中協議で注目すべきメンバーは2人である。米側交渉団のトップがゲリッシュUSTR次席代表になったのは、昨年秋まで米側交渉責任者だったスティーブン・ムニューシン財務長官からロバート・ライトハイザーUSTR代表に交代したことによるものだ。

 

一方、中国交渉団のトップである王受文商務次官だが、昨年12月1日にブエノスアイレスで行われた米中首脳会談の中国側同席者8人のうちの1人だったことからも分かるように、習近平国家主席(中国共産党総書記)が全幅の信頼を置く劉鶴副首相(党政治局員)直系の通商・貿易交渉エキスパートである。

中国側が全面決裂回避策を探っていたことは、商務省で行われた協議初日に劉鶴副首相がたとえ”顔見世”であったとしても、出席したことからも窺えた。今回の米中協議の重要性を踏まえた上で、協議進展に向けたモメンタムの維持を望んでいたことを示すものだった。

米中貿易協議のうちで米側が強く求めている知的財産権保護を筆頭に、国営企業への補助金問題、市場アクセス、技術移転の強制など構造問題については棚上げして、短期的成果をもたらしやすい物品問題に絞って詰めたことが今回の合意(=妥協)に至った最大の理由である。