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「航空会社の飲酒問題」で見えたアルコールに寛容すぎる日本社会の罪

パイロット不足を原因にしてはいけない

相次ぐ航空会社の飲酒問題

昨年来、日本の航空会社のパイロットや客室乗務員が、乗務前や乗務中に飲酒をするという事案が相次いでいる。

昨年10月、日本航空の副操縦士が、乗務前の飲酒検査で基準を大幅に上回る数値が出たため、ロンドンで逮捕され、有罪判決を受けるという事件が起こった。

それより前に実施された日本航空によるアルコール検査をすり抜けた可能性が指摘されており、明らかに酩酊が疑われるような様子であったにもかかわらず、同僚が気付かなったことも問題視された。

また、同じく日本航空の客室乗務員は、機内で飲酒したことが報じられた。本人は否認したが、アルコールの臭いがしたことや、客に提供されていないシャンパンの空瓶が機内に廃棄されていたことなどから、日本航空は飲酒の事実を認定した。

 

一方、全日空でも昨年10月、傘下のANAウィングスの機長が飲酒のため乗務できなくなり、5便が遅れるという事態を引き起こした。

これだけ重大事案が続いたため、国土交通省は12月、国内の全航空会社の社長等を呼んで、「運航乗務員の飲酒問題に関する対策会議」を開催し、乗務員の飲酒に関する管理強化の指示を行うとともに、日本航空に対しては再発防止策の報告を求めた。

にもかかわらず、また新年早々、全日空ウィングスのパイロットが乗務前のアルコール検査に引っかかり、5便に遅れが出るという事態が報じられた。

しかも、事態発覚後の会社による調査において、実際は社内規定で禁止されている乗務12時間前を過ぎても飲酒していたにもかかわらず、嘘の報告をしていたことも後になって発覚した。

さらに、日本航空でも一昨年12月に機長がアルコール検査を部下に身代わりで受けさせたことを国土交通省に報告していなかったことが、今年になって明らかになった。

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日本の航空会社の評判

日本の航空会社は、サービス過剰の嫌いもなくはないが、世界的に見て非常に高水準であることは間違いない。2018年の「エアライン・オブ・ザ・イヤー」では、全日空は2年連続2位、日本航空は13位となっている。

機内や空港で不愉快な思いをすることはまずないし、定時運航にも定評があって、安心して利用できる。

しかし、飲酒事案がこうも相次いで起きていることを見ると、肝心の安全運航に対する意識がきわめて低いと言わざるを得ないし、発覚したのは、氷山の一角ではないかと思われても仕方ないだろう。

検査をすり抜けたり、身代わり検査も簡単にできたりするのであれば、それは組織として飲酒問題への取り組みが不十分なことの表れである。

また、以前は代わりのパイロットに比較的余裕があったため、交代要員がすぐに見つかったので問題が大きくならなかったという話も聞く。