メイウェザー戦の次に那須川天心を待ち受ける「待望の一戦」

思いは交錯するけれど
佐藤 嘉洋 プロフィール

誰が強いかと言われれば…

当初は真剣勝負との報道だったが、一悶着あり、エキシビションマッチに収まった。エキシビションは相手に怪我をさせないことが前提というのが私の認識だ。しかしよく見てみると、ルールはなぜかKO決着アリ……。

試合は、序盤は様子見だったメイウェザーに対し、那須川が左のクロスを思い切り放ってから大きく動いた。メイウェザーが「お前が来るなら俺も行くよ」という感じで圧力を強めた。両者にとってエキシビションというのがどういう認識だったかはわからない。試合内容だけを見れば、メイウェザーは専守防衛、つまり向こうが本気で攻めてこなければ守りに徹しよう、という戦いに見て取れた。

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「ルールや体重差があるにもかかわらず、メイウェザーを本気にさせた那須川天心は凄い」という報道もいくつか見受けられたが、そりゃあ向こうがその気で来るならこっちも行くでしょう。メイウェザーは殴られ屋ではなく、ボクシング史上世界最高と称されている生粋のボクサーなのだから。

ルールも体重も両者納得済みの上で試合をしている以上、私はキックボクシング関係者として「もしもキックがあったら」という言い訳は一切できない。現に那須川自身、言い訳めいた発言は公には一切残していない。内心は恐怖・不安・重圧の感情も大きかったに違いない。

やる気にほとばしりながらも、追い詰められた入場時の表情を見ればわかる。だから少なくとも私は、格闘技の常識を引っくり返したかもしれなかった20歳の若者の大挑戦に拍手を送りたいのだ。よくがんばったぞ!

 

私は、キックボクシングのリングにボクサーを上げてKOしても、「ボクシングよりキックの方が優れている」とはまったく思わない。逆もまた然り。

過去に、K-1のリングでボクサーが蹴り倒されるシーンをよく見てきたけれど、「やっぱりキックの方が強いんですね!」と嬉しそうに話しかけてくる人には、「ルールが違うのでどちらの競技が強いかという証明にはなりません」と一人ひとりに説明してきた。そのボクサー本人がどれだけ「ボクシングを背負ってがんばります」と意気込んでいたとしても、である。

那須川vsメイウェザーの場合も同じ。あくまで個人間の競技力によって白黒がついた、それだけだ。