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# 日本株 # 米国経済

2019年前半、いよいよ「世界同時株安」が起こりうる3つの理由

昨年末は前哨戦。本番はこれからだ

「中央銀行バランスシート中心主義」は正しいか?

「昨年10月以来の米国株価の下落は、主として連銀がバランスシートを縮小していることによるものだ」と、よく言われる。それは正しいのだろうか?

日米欧の中央銀行は、量的緩和を行ってきたが、それは具体的には民間銀行が保有する国債等を中央銀行が買い取って、その対価の現金を銀行に「ばらまく」ものだ。すると買い取った国債等が、中央銀行の資産として積み上がり、バランスシートが膨張する。

逆に現在の米連銀のように、量的緩和を縮小することがバランスシートの縮小として表れる。カネ余りの度合いが弱まることで、ひとえに株価が押し下げられているといった、「中央銀行バランスシート中心主義」が大声で唱えられているわけだ。

それが正しいかどうかは、客観的にデータを見ればよい。中央銀行がばらまいた資金量を測る統計として、マネタリーベースと呼ばれるものがある。米国でその前年比増減率を見ると、確かに2018年3月以来マイナスが継続しており、連銀の量的緩和縮小が株価下落の主役であるように見える。

 

ところが、量的緩和第三弾の後、2015年6月から2017年6月のほぼ2年間も同前年比がマイナスになることが多く、特に2016年3月から2017年6月は16ヵ月連続のマイナスを記録した。ところがニューヨークダウは、2016年2月を底値として、そこから概ね上昇基調をたどっている。連銀の量的緩和を巡る政策が、株価にまったく影響力を持たないとは言わないが、連銀の政策ばかりが株価を左右している、という説は、誤りであろう。

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とすれば、これからの米株価の先行きをどう考えるべきか。

足元では、1月4日にパウエル連銀議長が講演で、先行きの経済動向などによっては、量的緩和の縮小ペースを見直すこともありうる、といった主旨の発言を行い、米株価は反発している。しかしこの株価の動きが、「中央銀行バランスシート中心主義」を信じた投資家が誤って買い戻していることによるのであれば、株価上昇は長続きするまい。

何を捉えて市場の先行きを考えるべきか

「マネー現代」の読者の方には、初めてのお目見えになる、馬渕治好と申します。

筆者は、内外主要市場(株式、金利、為替、主要な国際商品)を分析し、見通しを作成することを生業にしている。そうした業務において、大変重要であると考えることが2点ある。

1点目は、「中央銀行バランスシート中心主義」などのような「通説」をそのまま信じることなく、データなど客観的な論拠で検証する、ということだ。

2点目は、真に市場を揺り動かしている、最大の要因(複数ありうる)を見つけ出すことだ。

述べたように、筆者は、連銀の量的緩和の動向は、あまり重視すべきではないと考えているわけだが、では、昨年10月来の市場波乱は、いったい何によってもたらされているのだろうか。

筆者は、株価下落や外貨安・円高が進んできた根幹となる要因は、今後の米国経済の後退期入りだと見込んでいる。まだ足元の米国景気は強いが、これから悪化すると予想しているわけだ。

この見立てが正しければ、10月や12月に生じた米国発の世界株価下落は、米国経済が悪化することを市場が先取りした、「前哨戦」であったと位置づけられる。

目先は株価が反発する局面があるかもしれないが、いずれ本格的な米経済の悪化を目の当たりにして、世界的な株価下落の「本番」が来るだろう。これまでの前哨戦よりこれからの本番のほうが、厳しい株式市況になると考える。