中国に加え韓国も離反...日本にはいま「アジア戦略」の再構築が必要だ

これで友好国と言えるのか?
長谷川 幸洋 プロフィール

米中は「和解不可能」

そもそも、なぜ中国は覇権拡大を目指すのか。

評論家、石平氏によれば、習氏が対外拡張路線を突き進むのは、けっして習氏に特徴的な行動ではなく、中国という国のいわば「法則」であるという(『中国人の善と悪はなぜ逆さまか〜宋族と一族イズム』産経新聞出版、『なぜ中国は民主化したくてもできないのか』KADOKAWA)。対外拡張しなければ、権力の正統性を維持できない。そこが核心である。

石氏は多くの中国関連文献を渉猟して、こうした結論に至った。これは米中新冷戦に至った、もっとも奥深い事情を説明している。

 

日本に帰化している石氏のような中国出身者でなければ、中国という国の本質を理解したうえで、それを外部に発表する(しかも日本語で)のは難しいだろう。習氏であれ、別の中国人であれ「私たちはこういう理由で南シナ海に進出しているのです」などと語るわけがないからだ。私はとても勉強になった。

石氏の一連の著作と、このコラムで何度も言及しているマイケル・ピルズベリー氏の『China 2049』(日経BP)は、米中新冷戦の背景を理解するための必読文献である。

脱線した。さて、そうだとすると、習氏は対外拡張路線をけっしてあきらめない。したがって、米国とは和解不可能である。貿易分野で一定の合意が成立したとしても、サイバー攻撃や産業スパイ、南シナ海の縄張り化、人権問題などを含めて包括的な合意を結ぶのは難しい。

米国のペンス副大統領が歴史的な演説で対中強硬路線を初めて明確に述べた直後、私は昨年10月12日公開コラム(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/57929)で「緊張と対立の新しい時代が始まった」と書いたが、まさに2019年は米中新冷戦が本格化する年になるだろう。

北朝鮮はどう動くか。

正恩氏は米国と中国を両天秤にかけて、時間稼ぎを図っている。トランプ氏には何度も丁寧な親書を送って「非核化」をアピールする一方、習氏にも4度の訪中で従順な姿勢を示している。本来なら、そろそろ習氏が北朝鮮に出向く番だ。

それでも正恩氏が北京を訪れたのは、習氏にゴマする一方、トランプ氏にも「中国カード」を見せつける思惑からにほかならない。米中対決の帰趨がはっきりするまでは、両者を敵に回したくないのだ。

米中双方に自分を高く売る思惑がにじんでいる。習氏とトランプ氏の間を行ったり来たりして、結果的に非核化を先送りできれば、それで良し。先送りすればするほど、非核化の値段=見返りの経済支援がつり上がるからだ。