社会に出てから医学部に入る「再受験生」が増えているワケ

こんな人生の選択もあるんです
原田 広幸 プロフィール

そのため、文系・他分野からの医学部受験生は、高校3年生と同じ会場で試験に臨むことになり、医学部入試を受ける「再受験生」として、5教科7科目、あるいは、数学Ⅲ分野を含む英・数・理科2科目を勉強するしかないのが現実だ。

医学部は入学から卒業まで6年と、長い。さらに、6年間の授業料が非常に高額なのはご存知の通りだ。そして、入学試験の倍率は高く、その道は険しい。それでも、医師という職業に再チャレンジする人が、増え続けているのである。

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医学部「再受験生」が増えるわけ

「再受験生」といっても、他学部の大学2、3年生(20~21歳)から、大学院修士課程や博士課程を修了した者(20代後半)、社会人経験者(20歳代~40歳代、まれに50歳代も)など、実に多様だ。

ただ、医師になるためのルートは、法律家(司法試験)や公認会計士といった他のエリート資格とは異なり、原則的に「医学部(6年制)」卒業が条件となる。

現在、医学部の受験生は、年間14万人程度と言われている。倍率は15倍。猫も杓子も医学部というブームの中で、高校生などの現役受験者は増え続けている。その激しい競争の中に、一度、他の分野に進んだ人も、再受験者として加わることになる。

ちなみに、東欧諸国の医学部に留学し、EU共通の医師国家資格を取得してから、帰国して日本の医師国家試験を受験するというルートがあることも伝えておきたい。選択肢の一つとして検討していただいてもいいと思う。(<日本の医学部に合格せずとも、優秀な医者になる「裏技」があった> 参照)

では、全国82医科大学(医学部)・入学定員計9420人中、何人くらいが「再受験生」なのだろうか。

残念ながら正式なデータは存在しない。しかし、実際に医学部に入学した再受験生からの報告や、公表されたデータから、大雑把な推定は可能だ。その数字は、約10%。医学部の入学定員は100から130人程度なので、1つの医学部につき10人前後は「再受験生」が存在するという計算だ。

意外なほど多くの受験生が、「再受験生」なのである。彼ら、彼女らは強い意志と信念を持って、困難と差別を乗り越え、医師になってくれたのである。