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わずか半年で突然休園…待機児童「目玉政策」が引き起こした大混乱

新タイプの保育園に何が起きているのか

企業から集める拠出金で運営費が賄われる新たなタイプの「企業主導型保育所」が待機児童対策の目玉となっている。

スタートから3年目、運営する事業者にとっても、利用する親子にとっても、大混乱した状態となっている。

 

企業主導型保育所の理想と現実

「いったい、なぜ不採択になったか分からない」と、都内のある事業者は嘆く。待機児童が多い地域で4つの「企業主導型保育所」を新規開設しようとしたが、ふたを開けたら1施設しか認められなかった。

企業主導型を設置するに当たり、自治体の保育課にも細かく相談したうえで、自治体からも「ここに企業主導型保育所を作ってもらえるとありがたい」と言われながらも叶わない、という矛盾が生じている。

2016年度から始まった企業主導型保育は、企業から拠出される「事業主拠出金」で運営費が賄われている。

内閣府が管轄となる政府肝いりの待機児童対策に位置付けられ、企業が従業員に向けて作る福利厚生の一環として従業員の働き方に応じた運営をすることが目的とされ、認可外保育所の扱いとなる。

認可保育所などは市区町村が設置する計画を立てながら事業者の選定・審査などを行うが、企業主導型の設置について市区町村に権限はない。

定員20人以下の比較的小規模の施設が多く、定員の半分まで地域枠として従業員以外の子どもも預かることができるため、待機児童対策の政府の目玉政策となっている。

通常の認可外保育所には運営費は助成されないが、企業主導型は認可保育所並の助成が受けられることが大きなメリットとなり、乗り出す事業者が急増した。

2016年度は2万284人、17年度は3万9419人の合計約6万人分の待機児童の受け皿が整備された。この2年間で新たに開設された保育施設では、3人に1人が企業主導型保育に預けるほどの身近な存在になりつつある。

朝7時以前に開所している早朝開所施設は2016年度で22.7%、夜10時以降に開所している夜間開所施設は10.6%、日曜開所施設は29.4%となり、認可保育所ではカバーできないような時間帯の保育も担う。

スピードをあげて待機児童を解消するための奇策となった企業主導型保育所を広めるため、国は事業者の参入障壁を低くする手だてを打った。

その1つが、内装工事など施設整備費の助成だ。

通常、認可保育所を新規開設する時には事業者が工事費など一定の初期費用をあらかじめ用意しなければならないが、企業主導型保育は認可保育所と同水準の工事費用の4分の3相当分が受けられる。

内閣府がPRしているパンフレットには、「都市部で定員20人の施設を新設する場合」として、「例えば…工事費用1億860万円の助成が受けられる!」と書かれている。

すると、施設整備費欲しさで「時流にのって儲けたい」「1億円が入る、おいしいビジネスだ」と考える素人参入も紛れてしまい、結果、監査では7割もの施設で問題が見つかった。

幼児用のトイレを整備していない、食物アレルギーの対応を行っていない、保育計画を作成していないなど、保育の初歩も分かっていないところも散見された。秋田県、沖縄県では助成金の不正受給まで発覚した。