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中国の勃興に頭を悩ますプーチン、恐るべき「次なる一手」

北方領土問題の今後の展望は?

「全ロシア人民戦線」の発言

プーチンとロシア革命』はモスクワに'06年から'18年にかけて連続して11年半勤務した産経新聞の遠藤良介記者によるプーチン大統領統治下のロシアについて深く掘り下げた作品だ。

遠藤氏は、現代ロシアとソ連の連続性の断絶を総合的に把握している。

〈二〇一六年一月二五日、プーチンは支持団体「全ロシア人民戦線」の大会で、出席者からソ連の創始者、レーニンについて問われた。

「私は二千万人余りの人たちと同様に共産党員だった。それだけでなく、約二〇年にわたって旧ソ連国家保安委員会(KGB)で働いた。これは党の武装部隊と呼ばれた反革命・サボタージュ取り締まり全ロシア非常委員会(チェカー)の後継機関である。(中略)多くの職員と違い、私は党員証を捨てなかった」

自らの党員歴から話を切り出したプーチンは、保健や教育、防衛分野の工業化などをソ連共産党の功績として挙げた。「計画経済には一定の長所があった。それによって、全国家の資源を最も重要な課題に集中させることが可能になる」とし、こう述べた。

 

「全国家の資源集中がなければ、ソ連はナチス・ドイツとの戦争に備えることができなかっただろう。敗北し、破局的な結果となっていた可能性が高い」

プーチンは同時に、レーニンについて、「わが国の建物の下に時限地雷を仕掛けた」と負の評価も口にした〉

FSB長官兼ロシア連邦安全保障会議書記当時のプーチン大統領(1999年)/Photo by gettyimages

レーニンが仕掛けた時限地雷とは、私有財産制度を否定した管理指令経済が国家機能を麻痺させたことである。

プーチンは、共産主義イデオロギーとそれに基づいた革命を嫌う。ただし、独ソ戦に対して勝利し、世界で初めて人工衛星を打ち上げることができたソ連に対しては誇りを持っている。

図式的に示すと、「プーチンのロシア=ソ連マイナス共産主義」なのである。非共産主義的なソ連を21世紀に甦らせるのがプーチンの国家戦略だ。