格差に絶望する前に、あなたが持つ「もうひとつの資本」を活かせ

1000万を3億にした「アマゾン男」
鈴木 貴博 プロフィール

実は誰でも持っている、もうひとつの資本

このアマゾンの話には「お金にお金を稼がせるための重要な教訓」があります。アマゾン株に投資して3億円を手にしたその男が、仮に会社員としての勤務で手にしていた年収は500万円だったとしましょう。

一方で彼がアマゾン株の時価総額が1兆ドルになった日に、アマゾン株を売却して3億円を現金化したとします。税引き前の収入で考えれば10年間で3億円ですから、それは年収3000万円ということになります。

自分が仕事で稼いだ年収は500万円で、お金が稼いだ年収は3000万円。この現象を彼はどう受け止めればいいのでしょう。悲観的に叫べば、「俺の仕事の価値は、お金の仕事の6分の1しかないのか」という捉え方もできますが、経済理論的にはそのように感傷的な分析はしません。もっと単純な捉え方をします。

それは「人がお金を稼ぐ方法には2種類の資本があって、彼の場合はそのどちらについても優れた働き方ができている」という考え方です。それが人的資本と金融資本。このふたつの資本は大きさはさておき、誰もが持っている資本です。

アマゾン男の場合、人的資本は年間で500万円を稼ぎ、金融資本は年3000万円を稼いだというように捉えます。別に金融資本がその男の人生よりも価値が上だという話ではなく、単純に「その男のお金はお金をうまく稼いだ」という考え方をします。

 

1000万円の定期預金で稼ぐ年収はたったの1万円

金融資本はやり方によっていろいろなお金の稼ぎ方をします。一番生産性の悪い、言い換えるとワリに合わない金融資本の働かせ方は銀行で定期預金にすることです。

今のゼロ金利時代の水準でいえば、1年物の定期預金の利回りは0・1%程度が相場ですから、1000万円のお金が稼いでくれる年収はたったの1万円。アマゾン株と比べれば、とてもしょぼい稼ぎです。とはいえ利点としては投資に失敗したり減ったりすることがまずなく、銀行預金を金融資本の勤務先(!)として選ぶ人が結構多いのが実情です。

次にまとまったお金をある程度のリスクの範囲内で堅実に働かせることを考えた人がよく選ぶ投資先が、投資用不動産です。

たとえば1000万円で大都市のある程度利便性がいい場所に中古のワンルームマンションを購入したとしましょう。古いマンションで、17平方メートルぐらいのとても小さな物件であれば、これくらいの価格で手に入らないこともありません。

そしてその部屋を月5万円で誰かに貸すわけです。そうなると家賃収入は年間60万円の計算になりますが、実際は管理会社の手数料や固定資産税などがかかるので、手元に入ってくるお金は50万円程度でしょうか。この場合、お金がお金を稼ぐ利回りは5%で、銀行預金で働かせるよりはずっと稼ぎがいい投資先ということになります。

それよりもずっとアップサイド(つまりうまくいったときのリターン)が大きくとれる投資先といったら、なんといっても株式でしょう。

もちろん銀行預金と違い、株への投資は値下がりするリスクをつねにかかえています。では平均的にはどうでしょう。株式はひとつひとつの銘柄はリスクがありますが、株式市場全体の株価は長期的にはその国の経済成長と同じ方向に動くと言われています。