格差に絶望する前に、あなたが持つ「もうひとつの資本」を活かせ

1000万を3億にした「アマゾン男」
鈴木 貴博 プロフィール

1000万円が10年で3億円に

マイホームをあきらめて、投資家としてアマゾンの株主になったその男は、投資の時点でひとつのことを決めていました。

「あくまで会社のオーナーが労働者から見てどれだけ違うのかを理解したいからはじめることだ。だから、途中で株価が上がろうが、逆に下がろうが、一切動かないと決めておこう。それでこのまま放置してみて、50歳になったときにどうするかを判断してみよう」
 
こうしてアマゾン男はネット証券に開いた外国株取引口座で買った1000万円分のアマゾンの株を、そのまま今日まで10年間放置したのでした。

その後の展開を簡単にお話しすれば、アマゾンの株価はひたすら上昇を続けました。この時期のアマゾンは名だたるアメリカの大手小売業者から利益を奪い続けます。

この現象はアメリカではアマゾンショックと呼ばれ、バーンズアンドノーブルのような書店、ラジオシャックのような家電店、トイザらスのような玩具店チェーンがつぎつぎと業績を悪化させ倒産していきます。アメリカだけではなく、世界中でアマゾンはその国最大級のインターネット小売店として成長を続けていきました。

そして2018年9月にアマゾンはついに1兆ドル(日本円に換算して約110兆円)の時価総額へと到達しました。そのときの株価は1株あたり2050ドルです。ではあの日、住宅取得をあきらめて1株65ドルでアマゾンの株主になった男の財産はいくらになったのでしょう。

 

彼の財産を計算してみると約3億1500万円。つまり株価は31倍になったのです。そして投資家になった彼は「1000万円のお金にお金を稼がせる」ことで、10年間で3億円超のお金を手にしたことになります。

読者のみなさんも2008年に派遣労働者の搾取が社会問題になったタイミングで彼と同じことを考えたと仮定すれば、これは誰の身の上にでも起きたかもしれない話です。まるで3億円の宝くじに当たったような話ですが、その当たりくじは、同じ考え方をした人には同じように買えたかもしれない宝くじでした。