2年後、センター試験廃止で大学入試は「カオスな世界」になる

医学部受験のプロが断言
原田 広幸 プロフィール

しかし、全国で一律に実施される「共通テスト」に、記述式の設問を導入するのには、大きな困難が伴う。すでに新テストの試行テストが実施されたが、教育界では、ほとんど誰も支持する者がいないほど、批判ばかりが噴出している。

全国の教育界から批判が勃発

東北大学が出した声明は、とくに明快だ。「思考力や表現力(を測ること)は重要だが、大学の個別試験や推薦入試において、すでに、これから「共通テスト」で実施される記述式試験より高度な問題が出題されている。だから思考力や表現力はすでに十分よく評価できている」と。

これに返す言葉はないだろう。そもそも、全国一律で記述式問題を取り入れる意義が不明瞭なのだから。

採点、および採点基準の公平性という点でも、大きな問題がある。現行のセンター試験と同じスケジュールで共通テストを実施するとなると、実施後2週間で採点を完了させなければならない。

しかも、採点ミスは許されない。50万枚にも上るといわれる国語の答案を見るのに、どれだけの人数の採点員が必要か、考えただけでも恐ろしい。大学教員も、大学院生・大学生、高校教員、政府職員、みな忙しい時期である。いったい、どうやって採点員を確保するのか。採点力の「レベル」をそろえることにも無理がある。

 

自己採点ができない?

記述式問題の導入よって、大学入試センターから各大学への成績送付は、1週間ほど遅くなるとも言われている。

センター試験は、全問マーク式(客観式)のテストであったので、受験生の自己採点が可能であった。受験生は、各予備校などが出す解答や、翌朝の新聞に掲載される解答を見ながら自己採点を行い、その合計点数で受かりそうな大学に出願を行なう。

新テストに、採点基準の曖昧な記述式の設問が紛れこむことで、こういった一連の出願プロセスが一気に変わることになる。自己採点の過大評価や過小評価により、不本意な大学に出願してしまうケースも出てくるだろう。

国語のテストは、試行テストを経て、記述式の採点基準は緩和され、段階式評価になった。大規模での採点作業で、記述式問題を点数化することに無理が生じたからである。

そこで、段階式評価となったのだが、段階式評価のものを、各大学が点数化するのである。これでは、段階評価の意味がない。また、段階評価を無理やり点数化すると、もとの学力評価が大きく歪んでしまう。

国語に関して言えば、設問は、およそ日本語力を測るものとは思われないほど簡単な「キーワード探し」の低レベルな問題だ。詳細の分析は割愛させていただくが、興味のある読者諸兄は、公表されている問題を覗いてみるとよい。

センター試験の国語にも批判は多かったが、新テストは、その水準を大きく下回っており、おおよそ、「思考力や表現力」を測るものとは成り得ていない。