ついに検察と全面対決…「ゴーン容疑者の猛反論」ここがポイント

かつてない戦いが始まる…。

思いは果たせた

1月8日は、「カルロス・ゴーン祭」さながらだった。

東京地裁前には、わずか14席の一般傍聴券を求めて1100名以上が並び、東京・丸の内の日本外国特派員協会で行なわれた弁護人会見には、内外のメディアから230名が出席、「ゴーンの主張」を大きく報じた。

法廷で勾留理由開示の手続きが取られるのは極めて異例ということだが、51日ぶりに公の場に姿を現したゴーン容疑者の意見陳述は、全文に近い形で報じられ、大鶴基成弁護士らが会見場で配った資料は英文も含めて30枚に及んだ。「思いは果たせた」というべきだろう。

 

ゴーン側の主張は、「捜査機関からかけられた容疑は全ていわれないもの」ということだが、それを最もわかりやすい形にしたのが、特別背任容疑を否定する1枚のチャートだろう。「contract at no cost to the company(会社の損失がない契約)」という言葉が、ゴーン容疑者の犯意を否定するものとして、繰り返し使われた。

12月21日の再逮捕以降、「強欲なゴーン容疑者が日産を食い物にしている」といった報道が相次いだが、それは次のような特捜部シナリオによるものだ。

08年のリーマンショックによって、約18億5000万円の評価損が発生した私的な投資契約を会社に付け替え、さらにそれを自分に戻す際に協力したサウジアラビアの富豪に、約1470万ドル(約16億円)を不当に支払った――。

私物化の極致である。細かく分ければ、付け替えが第一の特背事実で、知人への支払いが第二の特背事実。特捜部は、第一の犯罪摘発を、第二の犯罪摘発で補強したと読むこともできる。

この間、支払先の中東日産(アラブ首長国連邦)幹部が語った「16億円は支払ういわれのないカネだった」という言葉が、メディアを通じて伝えられた。

その資金は、代表取締役兼最高経営責任者(CEO)だったゴーン容疑者が、自身の判断で使える「CEO積立金」から支出されたものだった。しかも、中東日産が管理する「CEO積立金」は、付け替えられた08年10月の2か月後に、ゴーン容疑者の指示で用意されていた。

特背の条件は、十分に整っているように思えた。だが、大鶴弁護士はそれを覆した。

チャートにある<検察の見ている範囲>とは、A銀行(新生銀行)が、ゴーン容疑者の為替スワップ契約を引き継いだ日産に対し、評価損が実現損になった場合の支払いを日産に要求、それを日産が新生銀行に支払う構図になっているということだ。

確かに、これでは日産に損失を押し付けることになる。ところが現実には、チャートの上部にあるように、<ゴーン氏が同額の決済>をすることになっている。つまり損失を支払うのはゴーン容疑者であり、それは新生銀行、日産、ゴーン容疑者(資産管理会社)の三者で合意されている。

このことは取締役会議事録にも記載されており、それが「会社の損失がない契約」なのである。

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