新疆ウイグル「絶望旅行」を終えて帰国した大学生の本音

ノービザ&6万円で行けるが…
安田 峰俊 プロフィール

公安の見張りと宗教弾圧

――絨毯がホコリだらけになっている時点で、地元の人が気軽に礼拝できる施設ではなさそうですね。

ええ。気になったので寺院の前で1時間待ってみたんですよ。でも、職員以外は誰も出入りをしていないし、アザーン(礼拝時間にモスクに集まるように呼びかける音声。イスラム圏では拡声器などを使い大音量でおこなわれることが多い)も流れない。寺院の周囲の広場に、帽子を被ったイスラム教徒の老人が何人かいて、モスクの方角を向いてボーッとしているだけでした。モスク内で礼拝はおこなわれていないように見えました。

※エイティガール寺院付近の広場にいた老人。現在はこうした民族帽をかぶるウイグル人も、老人のみに限られているようだったという。(ちゅうさまさん撮影)

ウォッチングの際には、男女2人組と男3人組のカメラを持った漢民族のグループがずっとこちらの様子をうかがっていました。彼らはカメラを持っているのに周囲の写真を撮らない、ずっと同じ場所から動かない、別グループのはずの男女2人組の女性と男3人組の男性の1人が短く言葉を交わしているなど不自然な行動が多く、公安の監視だろうと思いました。広場を出るまでは視線を感じましたが、離れると尾行されている気配はなかったです。

 

――他のモスクはどうでしたか? 2014年時点では、ヤルカンドの街の大きなモスクに、数十〜100人くらいまで成人男性の信者が集まって礼拝をしているのを見たことがあります。当時はまだ、モスクへの立ち入り制限を受ける人は未成年や大学生、公務員らに限られていたはずです。

ウルムチやカシュガルのモスクは、ほとんどが封鎖されていて礼拝者の姿も見ませんでした。これらでもアラビア文字の額が塗りつぶされたり、三日月が撤去されたりしていて、立ち入れないように鍵が掛かっているモスクも多かったです。

イスラム教徒は礼拝のために手足を洗って身を清めるのですが、ある洗い場は物置として使われていて、本来の用途で使われている形跡がありませんでした。国境の街にあったモスクは軍人らしき人たちが厳重に管理していましたね。