Enaminさん撮影

新疆ウイグル「絶望旅行」を終えて帰国した大学生の本音

ノービザ&6万円で行けるが…

現地の事情を知ること自体難しい

中国の西北部に位置する新疆ウイグル自治区において、現地のウイグル族(ほか、主にテュルク系の少数民族)に対する深刻な人権弾圧が起きていることはさまざまなメディアで報じられている通りだ。

現地では漢民族の移住が進み、都市部のインフラが目覚ましく整備されるいっぽう、少数民族の伝統的な生活習慣や宗教信仰への抑圧が進む。2014年ごろまでは月1回程度のペースで数十人以上の犠牲者を出す騒乱が発生していた。現在、新疆の少数民族は海外との通信が厳しく制限され、「再教育」を名目に収容施設に入れられている人々も100万人以上にのぼると伝わる。

※2014年春に筆者(安田)が訪れたときのカシュガル市の旧市街。現在は建物の多くが取り壊されて住民も移住させられ、観光用に整備された建物だけが建っているという。

2014年ごろまでは日本の新聞の現地取材もある程度まで可能だったが、取材のハードルはどんどん上がっている(ちなみに私も同年春ごろに新疆を訪れたが、結果はこの通りだった)。

現在は中国社会のサイバー化によって、メディア関係者の動向はほぼ完全に把握されるようになった。取材者が接触した現地の人(少数民族)が片っ端から拘束される可能性も高く、現地の事情を報じることそれ自体が非常に難しくなっている。

 

ジャーナリストは行けないが…?

だが、新疆にはもうひとつの顔がある。この地域は中国政府の見解では、諸民族が調和して暮らす中央アジア貿易の窓口で、重要な経済拠点。中国内地と同じく「安全」な場所とされているのだ。事実、日本の外務省の海外安全情報でも、新疆は最低限の注意喚起である「レベル1」の指定にとどまっている。

ちなみに、シリアやアフガニスタンの危険情報は全土が緊急退避レベルの「レベル4」だ(19年1月時点)。対して新疆と同じ「レベル1」は、インドやロシアの大部分も該当し、通常の海外旅行が十分に可能な地域とされている。航空券予約サイトで検索すれば、東京からウルムチまでは往復6万円くらいで行けてしまう(LCCならもっと安い。なお、日本人の中国渡航は2週間以内ならビザ取得が免除されている)。

ジャーナリストはなかなか立ち入れないが、一般人ならノービザかつチケット代金6万円で行くことが可能な、「世界最悪レベルの人権状況にあえぐディストピア」。それが新疆なのだ。

昨年秋、「Enamin」(@kaisokuena)さんと「ちゅうさま」(@chusama1212)さんという日本のバックパッカーが、旅行先の新疆から大量の情報をツイート。ネット上で大きな話題になった(参考:現地旅行者が伝える『ウイグル自治区における弾圧の実態』レポートに「今はここまで酷いのか」と過去に旅行した人々も驚愕)。

11月20日、筆者は帰国した2人に都内で取材し、より詳しい状況を尋ねてみた。今回の記事では、Enamin氏が語る新疆の最新事情をご紹介していきたい。