レーダー事件「韓国ナショナリズム」が3月1日に暴発する可能性

なぜ、ここまで強硬になったのか?
佐藤 優 プロフィール

もちろん、これは戦争につながりかねない危険な行為で、こんなことを許可したとなれば大変な問題ですから、たぶん艦長は「いや、うちの乗組員はそんなことやってない」と韓国国防部に報告した。韓国政府も、うちの艦長は嘘をつかないという前提で、「照射した事実はないです」と言って、「ここはどうか穏便に」という形で抑えようとしたら、「ちょっと待ってくれ。事実関係を曲げられてはかなわない」と、日本側もカッとなった。

そういうふうに応酬が始まって、収拾がつかなくなっちゃったーーということだと思うんですよ。

 

韓国「ナショナリズム高揚」の深層

佐藤:ただし背景には、もっと大きな韓国のナショナリズムの高まりがあると思います。徴用工問題でも、韓国の最高裁は戦線を拡大しているでしょ。カーッとなっているんですよ。これからいちばん危ないのが、今年の3月1日です。

邦丸:3月1日?

佐藤:韓国の三・一独立運動記念日です。当時は「万歳事件」と言っていましたけれど、日本統治時代の朝鮮で、「マンセー(万歳)」と叫んで日本からの独立を訴える人たちの運動が、徹底的に弾圧された。1919年のことです。その100周年にあたる今年は、南北共同で記念事業をやることになっている。ですから3月1日に合わせて、韓国のナショナリズムはものすごく高揚しますよ。

その背景にあるのは、「韓国に経済力が付いてきた」ということです。国力イコール経済力ですから。

2017年のGDP(国内総生産)を調べてみると、日本が4兆8721億ドル、韓国が1兆5308億ドル。単純に比べると、3倍近く開いているなと思うんですが、人口は日本が1億2600万人で、韓国は5100万人ですから、1人あたりで考えると、かなり近づいてきているんです。

加えて物価を考えると、たとえばタクシーに乗ってもバスに乗っても、韓国は日本のおよそ半分の料金です。物価は韓国のほうが安いということを考慮すると、生活水準は日韓でほぼ同じになった。アッパーミドルから富裕層になると、韓国のほうが格差が大きいですから、かなりいい暮らしをしているわけです。

最近はインバウンドで、韓国から日本にたくさん観光客も来る。「あれ? 日本人って、この程度の生活レベルなの? なんでそんな国に我々はナメられているんだろう」というふうに見えてくる。

そうした「草の根ナショナリズム」が、いまの韓国ではすごく高揚していると見ています。だから日本に対して、かなり無理筋のことを言ってくる。植民地支配を受けていたときの記憶は教育によって再生産されていますから、事実関係を曲げたりとか、かなり乱暴な姿勢も辞さない。

他の国に対しては、あまりそういうことはしないですよ。それだから、国際社会からは「日本と韓国は、なんでこんなに仲が悪いんだろうね」と見えてしまう。こういう状態なんですね。