あなたの土地を狙う地面師たち「その恐ろしい手口」

気づいたときには、売られていた…

女地面師が「役者」を手配

私は今年の夏頃から服役中の宮田と連絡をとり、地面師事件に関する情報提供を受けてきた。

そのさわりを拙著『地面師 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団』(講談社刊)にも書いたが、むろん紹介していない部分もある。22億円もの被害を出した地面師グループの手口と人間関係を改めて追った。

「ことを知ったのは、駐車場のお客さまからの一本の電話でした。アパの人から『この先、ここに車を停めてもらっては困るので、移動させてくれ』と突然言われたそうなのです。

それで、『いったいどうなっているのですか』と電話がかかってきた。こちらにとっては、何のことかわからない。それは驚きましたよ」

駐車場の管理会社「有限会社万安樓」の社員が、そう打ち明けてくれた。

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アパ事件の舞台となったくだんの駐車場は外堀通りの旧日商岩井ビルから六本木通りに抜ける道沿いにある。道路に面した東側以外、三方をオフィスビルに囲まれたその四角い土地の面積は378平米、114坪ほどある。大都会の異空間だ。

外国人観光客によるインバウンドでにぎわうホテル不足の東京のど真ん中で、アパグループがこの土地を欲しがったのは無理なかった。

駐車場の元の地主は鈴木善美といった。その善美の死後、鈴木家の資産管理会社「万安樓」が土地を所有し、駐車場を管理してきたのだ。ちなみに「万安樓」は鈴木家がかつて経営していた銀座の老舗料亭の名称で、政財界の重鎮が通ってきた。

そんな鈴木家の当主である善美には、仙吉と武という二人の息子がいる。地面師グループは、この鈴木兄弟のなりすまし役を仕立て、アパに駐車場を売り飛ばそうとした。

 

前述したように、駐車場の所有者は資産管理会社であり、鈴木兄弟ではないのだが、1926年生まれの兄の仙吉は当時87歳、弟の武は84歳。高齢のため施設に入っており、他人は連絡がとれない。そこで地面師たちは兄弟が相続した格好にし、土地を売り払ってしまったのである。

鈴木兄弟のなりすまし役を事件に引き込んだ秋葉紘子(74歳)は、積水事件でも手配師として逮捕されている。「池袋の女芸能プロダクション社長」と異名をとる女地面師だ。積水事件の首謀者と目される内田マイク(65歳)とも旧知の間柄である。

アパ事件では、彼女が松本敬三と西川光雄という高齢者をなりすましに仕立てた。なんと松本は元高校教師で事件当時82歳、西川は86歳で、介護施設に入所していたところをスカウトしたという。なぜか若い松本が兄の仙吉役、年嵩の西川が弟の武役を務めている。

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