本稿を執筆しているのは年内の営業日も残すところあと2日となった2018年の年の瀬である。
2018年の年末相場は間違いなく最低の部類のひとつに入る。昨日のクリスマスの日に日経平均は1000円余りも急落。2万円の節目を割り込み、2017年4月25日以来1年8ヵ月ぶり安値を付けた。
世界的な株安の震源地、米国の株価下落が止まらない。12月としては大恐慌以来、最悪のパフォーマンスとなりそうだ。2018年はリーマンショックから10年目に当たり、「そろそろ危ない」との声もささやかれていたが、株式市場の反応はまさに「危機再来」といったムードになっている。
そんな最悪の相場環境のなか、平成最後の年末を迎える。思い返せば、平成初めての年末は日経平均の史上最高値で終えたのであった。
今の株価は史上最高値3万8915円のちょうど半値である。平成という時代は「失われた○年」という形容詞で語られることが多かったが、30年経って、株価がやっと半値にしか達していないという事実に、改めてこの平成という時代の喪失感を思い知らされる。
オークツリー・キャピタル創業者兼会長のハワード・マークス氏は、著書『市場サイクルを極める』のなかで、投資家の心理が「強欲と恐怖の間を行き来する振り子」のように揺れ動き、市場全体の動きは、この振り子で説明がつくと述べている。
日本株はまさに30年かけて、強欲から恐怖へ、超楽観から超悲観へと大きな振り子の動きをした――この平成という時代の株式市場の動きを一言で総括すればそう言えるだろう。
平成元年の末と平成30年末、この2期間比較ではその通りだが、この間にあった30年という時間の経過と蓄積を捨象してはいけない。
従来述べてきたことだが、日本株は平成の初めの20年は80年代バブルの清算に充ててきた。
ずっと右肩下がりのトレンドだった。80年代バブルがあまりにすさまじかったために、その清算には20年もの年月を要したのである。
しかし、平成最後の10年は米国株市場と同様の右肩上がりのトレンドに回帰した(下記グラフ参照)。
株式という資産が本来持っている長期的な平均リターン(年率7%程度)を期待できる市場に生まれ変わった。
日経平均(赤)とNYダウ(青)
あまりにも異常だった80年代バブルの清算を、20年もの歳月をかけておこなった結果、バリュエーションが正常化し、企業業績の伸びがそっくりそのまま株価のリターンに反映されるようになったのである。