韓国で『82年生まれ、キム・ジヨン』が大ヒットした社会的背景

日本とこんなにも状況が似ている
金 香清 プロフィール

韓国で何が起きたか

文化や言葉など似ている点も多い日韓だが、民主主義や言論の自由、差別問題の進化の歴史はまったく異なる。

言及するまでもないが、朝鮮半島では戦後も軍事境界線が象徴するように冷戦が続いてきた。80年代の韓国では夜間の外出時間が制限され(88年全面解除)、軍人がデモ隊に催涙弾や銃を向け、言論の自由も制限されていた。一方、その頃の日本はバブル景気時代である。

戦後民主主義のスタートラインが、明らかに日本より数十年遅れているのだ。現在も治安維持法である国家保安法が存在し、独立した公安組織である国家情報院が存在することを忘れてはならない。

 

自由を抑圧された民衆の鬱憤は噴出しがちなものだ。

近年、韓国では時として日本よりも、民衆の人権を強く反映した法律や施策が実現している。2008年に、戸籍制度が廃止されたのがわかりやすい例だろう。それまで韓国では、女性は戸主にさえなれなかった。

また、現在では「家族」の概念を広げる法案が検討されている。いわゆる「伝統的な家族」と事実婚や一人親世帯などを差別化しないためのもので、法案が通れば、事実婚カップルやシングル親の子供の欄から「婚外子」の文字が消える。

(左)韓国版、(右)日本版

女性が声をあげる背景

韓国で女性差別の問題がクローズアップされるのには、何かしら事件や女性側の告発などのきっかけがあったが、それらは突発的なものでは決してない。

昨年、1980年5月の光州抗争の際に、軍人や検察官に性暴力を受けた女性が、初めてその被害についてメディアに語った。

光州抗争とは、全斗煥(チョン・ドゥファン)によるクーデターに反対した大規模なデモで、軍部の弾圧によって約200人もの人が犠牲となり、拷問などによって重傷を負った者も数えきれない。

光州抗争は言論の自由が制限された韓国でも語り継がれ、その真相について調査・検証が行われてきた。

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