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韓国で『82年生まれ、キム・ジヨン』が大ヒットした社会的背景

日本とこんなにも状況が似ている

韓国で100万部突破のヒット作

82年生まれ、キム・ジヨン』という韓国の小説が、日本でひそかなブームとなっている。発売4日目にして3刷が決定し、都内の大型書店の多くが品切れ状態だ。

ネット書店のレビューでも「女性なら誰しもが共感するだろう」「舞台は韓国なのに驚くほど(日本と)状況が似ている」など、共感を示す感想が数多く投稿されている。

同作は「韓国の82年生まれの女性で最も多い名前」であるジヨンという、平凡な女性の少女時代から、結婚、出産至るまでの人生を描いている。ジヨンが出産後、退職を余儀なくされ、育児に追われる中、精神を病んでしまうストーリーだ。

韓国のジェンダー意識にかかわる現代史や社会問題を織り交ぜながら、女性の生き辛さが描かれ、国内では100万部を超える大ヒット作となり、映画化も決まった。

私は、2017年の夏に友人が韓国版をプレゼントしてくれたので読んだ。彼女もやはり82年生まれの韓国人女性で、当時、ちょうど出産直後で、職場復帰の問題や身内のいない日本での育児等々で悩み、苦労している真っ最中だった。

日本以上に出生率の低下(2017年1.05人)が憂慮されている韓国だが、出産や育児の多くの部分が女親の負担になっている状況は、日本も抱える問題でもある。

 

私自身、小説に描かれた女性に対する社会の抑圧的な空気について、大いに共感した。が、主人公が受ける具体的な差別の事例は、77年生まれで5歳年上の私から見ても、一世代前の時代のことにように思われた。

例えば、家で炊き立てご飯は母親よりも長男であり末っ子の弟が優先されたとか、学校では校則が男子よりも女子に対して、極端に厳しかったといった箇所などだ。

それは私が日本で生まれ育ったからだろう。社会人になったばかりの2000年代初め、韓国のジェンダーに関するイシューを眺めながら、「日本に生まれてよかった」と安堵したものだった。

ところが現在の日本では、「キム・ジヨンのような小説が生まれ、話題になる韓国がうらやましい」といった言葉が聞かれる。

2018年の流行語大賞でトップテン入りした「#MeToo(性被害の告発に用いられるハッシュタグ)」も、韓国では司法界から芸能界、政界まで広がり、大きな社会問題となった。

一方で日本では、「なぜ#MeTooは、日本では韓国のように盛り上がらないのでしょうか?」と聞かれることも多く、そのテーマで新聞社から原稿依頼もあった。