今年、「春高バレー」がネットで無料配信されるようになった理由

学生スポーツには無限の可能性がある

冬の風物詩ともいえる「春の高校バレー」に、今年、大きな変化があったことをご存じだろうか。これまで地上波とCSを中心に放送されてきた同大会だが、今年からは地方大会の決勝と全国大会の準決勝までが、無料でネット配信されているのだ。

サッカーJリーグの独占放送権がBS放送大手の「スカパー!」から英国のインターネット動画配信サービス「DAZN」に移行するなど、スポーツ中継をテレビだけでなく、ネット配信で見る機会が増えた昨今。毎年春高バレーを中継してきたフジテレビは、インターネット・スポーツ・メディア「SPORTS BULL」を運営する「運動通信社」と提携し、1月5日から13日にかけて行われる春高バレーの、無料ネット配信の実施を決定した(https://sportsbull.jp/category/haruko/)。

ともすれば競合にもなりうるネットメディアとテレビ局が手を組んだのはなぜか。背景に迫った。

フジテレビのホームページよりhttps://www.fujitv.co.jp/sports/vabonet/haruko

学生スポーツの魅力を掘り起こす

「SPORTS BULLはこれまでアマチュアスポーツの配信事業に力を注いできました。歴史も人気もある春高バレーのネット配信を手掛けることは、大きな目標の一つでした。その念願が叶って嬉しく思っています。春高バレーファンはもちろん、いままであまり触れる機会のなかった人にも観ていただき、ファンの裾野を広げていきたい」

こう語るのは、夏の全国高等学校野球選手権大会(甲子園)をライブ配信する「バーチャル高校野球」や、インターハイのライブ配信をする「インハイ.tv」との連携も行っている新興スポーツメディア「SPORTS BULL」の代表・黒飛功二朗氏だ。

ネット配信を通じて、アマチュアスポーツの魅力を多くの人に伝えたい――。そんな想いから、2013年の電通退社後の2016年に「SPORTS BULL」を立ち上げた。昨年は全国高等学校野球選手権大会の650試合超をネットでライブ中継し、結果的に甲子園の観客動員数の最高記録更新に貢献。SPORTS BULLの名を全国に轟かせたが、黒飛氏は立ち上げ当初から春高バレーのネット配信も手掛けたいと考えていたという。

黒飛氏が語る。

「私たちは、『アマチュア・ローカル・マイナースポーツの持つ力を掘り起こす』ことをミッションのひとつに掲げ、夏の甲子園やインターハイなどの高校スポーツに加え、東京六大学野球を始めとする大学スポーツまで、幅広い学生スポーツのネット配信に力を注いでいます。

日本の学生スポーツというと、箱根駅伝、夏の甲子園などの大会は飛び抜けて注目度が高いですが、そのほかの大会、競技はなかなかそこに肩を並べることが出来ていない。決して魅力が低い、面白くないからではなく、メディア環境の影響もあり、結果的にコアなファンだけで盛り上がる『マイナースポーツ』と捉えられてしまうことが多い。

ならば、無料ネット配信を通じてその機会を提供し、様々な大会、競技の魅力に気づいてもらい、学生スポーツファンを増やしたい――そういう想いが根底にあります。

 

そもそも箱根駅伝も、関東の大学のみしか参加できない、ローカルな駅伝大会でした。けれども、毎年1月2日、3日に行われるということ。また、山登りの5区での大逆転劇や復路での優勝争いはもちろんですが、来年の出場校を決める熾烈なシード権争いなど、ドラマティックな展開があること。

このような特性や魅力をメディアとして前面的に打ち出すことで、駅伝にまったく興味がなかった人にまで認知されるようになり、箱根駅伝はビジネス的にも超優良なコンテンツとして成長していったわけです。

多くの人たちが観戦できる機会をつくり、その競技大会の魅力を存分に引き出した見せ方さえできれば、その競技への注目は集まり、どんなアマチュアスポーツでも箱根駅伝や甲子園のように世の中の注目を集めるコンテンツに転換できると考えています」

そんな想いを持つ黒飛氏が、春高バレーの配信を手掛けたいと思うのは自然なことだった。