私たちが世界で勝てたのは、試合が楽しかったからです【動画付き】

カーリング・銅メダリストの告白⑤
本橋 麻里 プロフィール

田舎の強み

その「地域に愛される、楽しいカーリングチーム」を目指したロコ・ソラーレはオホーツク海沿いの小さな町、常呂町で生まれました。

チーム結成以来、私はずっと、チームのメンバーそれぞれのキャラクターを活かすことを意識してきました。矛盾して聞こえるかもしれませんが、キャラクターを活かしながら、一色に染まらず、同じ方向を見ているチーム、とでも言えばいいでしょうか。

本書で詳述するように、一つのカラーにまとめようとすると、チームやグループは肉体的にも精神的にも必ず限界が来ます。短期間ならまだしも、長期間、地域に根付いたチームビルディングは、私にはイメージできなかった。

一般社会でもよく、「会社の歯車」とか「使い回しの部品」という表現を聞きますが、キャラクターは誰もが絶対に持っているものです。そしてそれは活かされる、あるいは最大限に活かしていくべきだと思います。

その人は何が好きで、趣味や嗜好は何か。なぜそれが好きなのか。

その自分の好きなものは、ある意味では「ツール」だと思うんです。別にお金にならなくても、自分の人生が豊かになれば素晴らしい存在となるので、何よりも大切にすべきだと私は信じています。

常呂町出身の私にとって、そのツールはたまたまカーリングであっただけで、野球でも、将棋でも、ネイルでも、オンラインゲームでも、デスクワークでも、ジャンルは問わないと思います。

今、自分の手にある楽しいこと、あるいは掴めそうな、興味が出そうなツールは、きっとそこら中に転がっていて、それを楽しみながら磨いて活用していくと、多くの人とつながれるかもしれないと願うのは甘いでしょうか。

そして、つながりという意味では、チームやビジネスなどを立ち上げるのに、田舎ほど良いところはありません。

ゼロは最強です。アイデアと体力さえあれば、何でも生み出すことができる

0から始めることができれば、理想の10に向けた1をつくれると私は思っています。たとえば、どこかの大都市で4まで進んでしまった事業を、理想の10までもっていくためには、一度、後退を迫られたりするかもしれません。

「地方だから」という言い訳は、私の中にはありません。地方だからこそ、前向きに、どんどん進めることができる。

田舎には無限の可能性があるということもまた、『0から1をつくる』のテーマとなります。

今でも週3~4回はアイスに立つ(撮影/森清)

変わろうとしている人へ

『0から1をつくる』は、私にとって初めての著書です。

皆さんの手に取ってもらえるのか、正直なところ不安しかありませんが、これまでの経験をもとに、私なりのコミュニケーション術や組織論、リーダー論、地方都市の可能性などについて、実際の経験をもとに書きました。

銅メダルを獲得した平昌五輪プレイバックから始まり、海と空と畑しかない故郷のこと、青森で得た様々な経験、ロコ・ソラーレと歩んできた8年、カーリングのこれから……。

私はこの本を「すべての頑張っている人」、もっと言うと、何かに向かっている人、変わろうとしている人に読んでほしいのです。