中国は先進国か、発展途上国か…正月の北京で見つけたひとつの答え

この国は「21世紀の実験国家」なのか
近藤 大介 プロフィール

国家博物館にできた長蛇の列

元旦の早朝、天安門広場に出かけた。気温マイナス12度で、立っていられないほど寒かった。

日本では、初日の出は全国津々浦々で拝んでいるが、中国では、特に北京では、天安門広場に限る。それは、初日の出と「五星紅旗(国旗)掲揚式」が、ワンセットになっているからだ。

7時36分、100万人を収容できる天安門広場の故宮側で、人民解放軍の精鋭部隊が、巨大な国旗を空に放ち、国歌演奏とともに旗を上げていった。

この朝、広場に集まった約10万人もの「老百姓」(ラオバイシン=中国の庶民)たちが、2分7秒に及ぶ軍人たちの雄姿を拝みながら、「新年快楽、恭喜発財!」(新年おめでとう、儲かりますように)と願をかけたのだった。

例年なら、広場に巨大な「五星紅旗」が靡けば、「老百姓」たちは三々五々帰っていく。だが、今年は少なからぬ人々が、そのまま広場東手の国家博物館に長い列を作った。彼らのお目当ては、開催中の大型展覧会「偉大な変革――祝福改革開放40周年」の参観だった。

この中国を代表する博物館は、習近平主席と縁が深い。もともとは中国歴史博物館と言って、中国の悠久の歴史文物を展示する博物館だった。それを国家副主席時代の習近平が、大々的にリニューアルさせて、2011年3月に国家博物館としてオープンした。

私は、リニューアル後に足を運んで、以前とはまるで異なる博物館に様変わりしてしまったことに驚いたものだ。

具体的には、北京原人の時代から中国共産党ができるまでの歴史は、すべて「古代」として地下に押し込んでしまった。代わりに1階のメインスペースを「偉大なる中国共産党の歴史」の展示にしてしまったのだ。

とはいっても、悠久の中国史に比せば共産党の歴史など100年にも満たないので、「毛沢東の山上の垂訓」などの革命画を多数展示することで、均衡を保っている。

そんな巨大な国家博物館を、昨年11月13日から今年3月20日まで、ほぼ全館を、改革開放40周年の記念展覧に臨時改装してしまったのだ。展覧会初日には、習近平主席も、共産党の「トップ7」(外遊中の李克強首相を除く)プラス王岐山副主席を引き連れて、観覧に訪れた。

そこでも習主席は長い訓辞を垂れたが、要は、「改革開放は共産党の堅強な指導のもとで達成されたものであり、われわれも新時代の中国の特色ある社会主義思想の指導を堅持し、中国の特色ある社会主義に美しい明日をもたらすようにするのだ」という内容だった

 

先月のこのコラム(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/59138)で記したように、1978年12月18日から22日まで開かれた中国共産党第11期中央委員会第3回全体会議(3中全会)で、鄧小平が中心となり、改革開放政策を採択した。それまでの文化大革命の極左路線を修正したことで、中国の「奇跡の経済成長」が始まったのだ。

テレビで新年の挨拶をする習主席

中国は昨年末から、国を挙げて「改革開放40周年」を盛り上げている。今回、北京へ行ってテレビをつけると、どのチャンネルでも「改革開放40周年記念ドラマ」を放映していた。合計で何百本、この手のドラマを撮ったのかは不明だが、どれも内容は大同小異で、貧しかった家庭や職場の生活が、40年で激変していく様を描いている。

それらを見ていると、確かに昔の風景や生活は懐かしいし、右肩上がりのストーリーというのは、胸がスカッとするものだ。というわけで、中国経済が急速に下降局面に向かっている中で、習近平政権としては、格好の宣伝材料にしているのである。