レーダー照射事件・あまりに粗末な韓国の反論で「深まる疑念」

はっきりさせておくべきことがある
髙橋 洋一 プロフィール

はっきりとさせるべきこと

このように韓国は、ウソとわかりつつ平気で「正しいこと」として言うところがあるが、韓国の動画の中で、「もしも日本側が主張する追跡レーダーの証拠(電子波情報)があれば、両国間の実務協議で提示すれば良いでしょう。」、「日本はこの事案を政治的に利用せず、実務協議を通じ、事実確認の手続きに入らなければなりません。」というところがある。

筆者はここに韓国側の本音があると思っている。つまり、ここが韓国側が持っていきたい落としどころなのではないか、ということだ。

 

この韓国側の動画は、公開する前に事前に日本にも連絡されていただろう。その証拠に、河野外相は、すばやく韓国外相と電話会談した。

その後、この問題について防衛当局間でしっかりと事実関係を確認し、なるべく早期に解決することが両国にとって望ましいとの認識で一致したというが、「事実確認」と「その後の対処」はしっかりと分け、両国間で内々に処理するのではなく、国際社会にも両国民にもスッキリした形で解決すべきである。

いわゆる徴用工問題でも、韓国政府はやるべきことをやっていない。韓国側は、司法の判断を尊重せよというが、日本企業を訴えるのではなく、韓国政府が肩代わりすべき問題であることは、過去のコラムで指摘した。政府がやるべきことをやらないで、他国のせいにするのは、国際社会においては許しがたいことだ。

この件について韓国政府としてやるべきことは簡単だ。原告から日本企業の財産差押などの申し立てがあっても、韓国政府が執行しなければいいのだ。

万が一にも…

前述した通り、昨年末の本コラムでは、北朝鮮の密漁船を韓国政府が恒常的に救助していた可能性について指摘した。これについても、韓国側の見解をしっかりと日本政府は確認すべきである。

最悪のケースとしてあげておきたいのは、日本のEEZについて、北朝鮮と韓国の間で「ここは自分たちの海域である」というような密約がある場合だ。万が一にもこのような密約があった場合、韓国はもやは友好国とは呼べなくなるだろう。

レーダー問題に限らず、韓国が日本に対してウソを平気でつくなら、そんな国は友好国とは言えないのだが、現在韓国と北朝鮮との間で雪解けムードが漂うなかで、韓国が日本を「敵対的な国」として扱う可能性も、いよいよ考えておかなくてはならないのではないか。

今回のレーダー照射事件に限らず、最近の韓国政府による日本関係の談話等があまりに冷静さを欠いており、なんだか朝鮮中央放送の声明に似てきたと思うのは、筆者だけではないだろう。いまの韓国政府内には、かなり北朝鮮と関係の深い人物がいるとの指摘もあるが、そうしたことも関係しているのだろうか。

いずれにせよ、最近の韓国の「北朝鮮志向」は、日本の安全保障とってかなりの脅威になりうることを、今回のレーダー照射事件を通じて指摘しておきたい。