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「超高額初セリ」のウラで進行しているマグロの危機的状況

3.3億円には理由がある

高額競争の裏側

3億3360万円――。

豊洲市場で初めてとなる2019年の初セリで、「うおおおーっ」というどよめきと歓声が沸き立つ中、激闘の末に勝利の手を挙げたのは、「すしざんまい」の喜代村、木村清社長だった。2013年に喜代村が記録した最高値1億5540万円の2倍を超える。途方もない金額だった。

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昨年、「銀座おのでら」に一番マグロを競り落とされ、7連覇を阻まれたのが悔しかったのだろう。2年ぶりに1番マグロを手に入れた木村社長は、「まさかこんなに高くなるとは思ってなかったよぉー。3000万円くらいと思ってたのにー」と言いつつ、満面の笑みを浮かべていたという。

落札されたのは青森県大間の278kgの本マグロ(太平洋クロマグロ)。1kgあたり120万円であった。昨年の初セリで銀座おのでらが落札したマグロは1kgあたり9万円であったから、いかに飛び抜けた金額かがわかる。単純計算で100g(小さめのひとサクほど)あたり12万円、刺身ひと切れで原価1万2000円だ。

初セリは特別であるし、木村清社長も相当な人だと思うが、3億円を超えるまで争った相手がいるということがすごい。

本題に入ろう。

なぜ、こんなにもマグロの値段が上がっているのか。ただ初セリがお祭りだから…ということもあるが、そもそも本マグロの希少性が年々上がっていることが背景にはある。

太平洋クロマグロは2014年に絶滅危惧種に指定され、それ以降も深刻な減少が指摘されている。そして何より近年、大間をはじめ全国のマグロ漁師が、「マグロが減った」「獲れなくなった」と嘆いている。

本マグロのじつに98%が、幼魚のうちに乱獲され、捨てるような値段で売りさばかれていることを、ご存じだろうか。

 

スーパーの安売りマグロの「秘密」

高級鮨店で大トロを頼めば1貫3000円とも5000円とも言われる近海モノの生本マグロは、日本人にとって憧れですらある。漁師たちが大物を求めて極寒の津軽海峡に挑み、大物を釣り上げるドキュメンタリーに胸を熱くした人も多いだろう。

その近海物の生の本マグロが、実はスーパーの鮮魚コーナーで手頃な値段で売れれている。関東では「メジマグロ」、関西では「ヨコワマグロ」という名前で。いずれも本マグロの幼魚の呼び名だ。

大ぶりのカツオぐらいの大きさで、4半身(1本を3枚におろした後背側と腹側に分けたもの)または8半身(4半身を頭側と尾側に分けたもの)ほどのサクで売られていることが多い。

値段はだいたい100gあたり400〜500円程度でよく見かける。仕入れ値(原価)がその半分ぐらいだと想定すると、成魚の生本マグロに比べたら10分の1から20分の1程度の値段だ。