世田谷人気はもう時代遅れ…?「住みたい街」ランキングの真実

30代は「この街」を好む
池田 利道 プロフィール

30代は「都心×下町」を好む

30代の人口増加率で、都心3区の中に割って入る2位は台東区。リクルート社の調査結果に基づく「住みたい自治体ランキング(2018年)」では、23区中の18位に甘んじる「低人気区」の台東区である。

Photo by iStock

わが国全体が人口減少時代に突入した今日、東京一極集中とはいっても人口増加の勢いは弱まりつつある。23区全体でみると、2005年~2010年の5.4%増から2010年~2015年は3.7%増へと1.7ポイントの低下。東京の過半の区で、同じように人口増加率が低下している。

そんな中、人口増加の勢いがまだまだ衰えを見せない都心を除いても、人口増加の傾向が大きく加速した区がある。その筆頭は、人口増加率が0.6%から9.8%に、順位は最下位の23位から5位に一大躍進を果たした渋谷区だ。

そして、もうひとつが台東区(増加率:6.5%→12.6%、順位:10位→4位)。同じように、江東区の清澄白河、森下、住吉、門前仲町、木場、東陽町など同区の西北部(いわゆる深川地区)、墨田区の両国近辺(いわゆる本所地区)、品川区の五反田、大崎駅の南側や青物横丁、鮫洲など京急本線の沿線でも、人口増加の勢いが増している。

 

まちの大改造が進行中の渋谷はわかるとして、台東、江東、墨田、品川などで人口が増えているのはなぜなのか。答えは2つで、都心に近いことと下町であること。もう少し正しくいうと、この2つの掛け算にある。

筆者はこの動きを「中心部居住の本質回帰」と呼んでいる。詳しくは、拙著『23 区大逆転』に記したが、先にも指摘したとおり、中心部居住の「本質」は通勤時間を短くし、時間をより有効に使おうとするところにある。

しかし、都心に住んでこれを実現できるのは、経済的に余裕がある一部の選ばれた人たちだけ。つまり彼らにとって都心居住は、新たなライフスタイルを体現することと、都心に住むというステータスを得ることの2つの意味の掛け合わせがある。

このうちステータス部分を切り捨て、中心部居住の本質的な利点だけを得ようとするのが「下町ライフ」の動きだ。下町ライフでは、ステータスを捨てた代わりにコストパフォーマンスに優れた生活を手にすることができる。

リクルート社の定義に従うなら「穴場ライフ」。穴場ライフの実践者は、(前回の記事で指摘した)千住だけでなく、いま東京で着実に増え始めている。