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医学部受験生は減るか、増えるか? 「入試不正」あまりに大きい余波

むしろ「強気の受験生」が出る可能性も

「男子現役生・一浪生」の優遇がなくなると…

昨年11月の末から、12月の末にかけて、主に私立大学の医学部を受験する受験生約70名の二次試験の指導をした。

1人1人と向き合い、悩みを聞き、今後の打開策を示した。そこで開口一番尋ねられたのは、「医学部入試の不正が次々と明るみになる中、私は一体どこの医学部を受験すれば良いのでしょうか」、「来春の医学部入試は一体どうなってしまうのか。合格しやすい穴場の大学はあるのか」、「二次試験の位置付けはどうなるのか、内容が昨年までよりも難しくなるのではないか」といったものである。

切実である。受験生のほぼ全員から、こうした質問が出された。

予想のつく事態ではあった。だが、答えるのは極めて難しい。何故ならば、文部科学省が公表した「医学部医学科の入学者選抜における公正確保等に係る緊急調査 最終まとめ」を精読しても、不明瞭な部分が未だ残っているからである。

 

まず、すべての膿が出されたのか、という疑問である。調査には限界がある。今回の調査では不正が表に出ず、世間の厳しい目にさらされることを免れた大学も、ないではないと思われるからだ。

受験生から出された問いに一つの答えがあるとしたら、初心に返ること、つまり報道で公表された悪いデータにあまり振り回されずに、受験校を決めるということだ。

このようなときだからこそ、自分が行きたい、目指してきた大学を受けるべきだ。そうでなければ悔いが残る。受験において、これまで何らかの恣意が働いていたならば、自浄作用が働くだろう。来春は改善がなされるはずだ。物怖じすることはない。

また、女子や多浪生に寛容とのデータが示された大学には、志願者が集中する可能性がある。この点も要注意だ。可能な限り情報を収集し、ライバルの動向を注視すべきだ。

そして何よりも、今年度以降の二次試験は厳正になり、難度が上がると思われる。今まで優遇傾向にあった男子現役生や一浪生は、言うまでもなく気を引き締めねばならない。

順天堂大学医学部の不適切入試で、女子のコミュニケーション能力が話題になったが、これまで多数の受験生を見てきた実感としては、総じて女子受験生の書く力、話す力は高い傾向にある。

学術的な理由はわからない。ただ経験上、面接・小論文指導中の受験生で手を焼くのは、若年の男子学生が多いのは事実だ。普段から本や新聞を読んでいない者が多く、世間で話題の用語を聞いても答えられない。また自分の手で長い文章を書く習慣がついておらず、原稿用紙を前に、制限時間内に丁寧に字を書くことができないケースが多い。

学科ができるだけでは、これからの医学部入試は勝ち抜けない。バランスが重要だ。

むしろ受験生が増える?

こうした中、受験生、あるいはご父母の心境について言うならば、下記の二つのタイプがあるように思われる。

一つめは、「文部科学省の最終まとめで『不適切な事案』『不適切である可能性の高い事案』として名前が挙がった大学は、むしろ来春は、入試における透明性が高まるのではないか」と、公正な入試に過度な期待をかけるタイプである。

他方、期待は少々で批判的・分析的なタイプもいる。「現状は改善されつつあるのかもしれないが、未だ不明瞭なことが多すぎる」と懸念を示すタイプである。そうした受験生やご父母の懸念の矛先は、追加合格者数をすでに公表した東京医科大学、順天堂大学、日本大学に主に向けられている。

これらの大学は、来年度入試に関し、“医学部定員超”の特例措置が認められたものの、予断を許さない状況だと考える人も多い。たとえ、従来通りの募集があったとしても、人気校だけに受験生が集中し、倍率が上昇するであろうことも不安材料のようだ。