〔PHOTO〕gettyimages

米中新冷戦、対テロ戦争…国際情勢がこれだけ複雑を極めるのはなぜか

今、日本の存在感が試されている

あれから100年

2018年は、第一次世界大戦が終わってから100年目の年だった。2019年は、ベルサイユ条約が結ばれ、国際連盟が設立されてから、100年目にあたる年だ。

100年前と比べて、今日の世界は、自由主義的な価値観にもとづいて、大きく刷新されている。自由主義を基調とした国際秩序の刷新が、1919年から開始されたことには、異論がないだろう。

国際連盟の設立を主導したウッドロー・ウィルソン米国大統領の強烈な個性は、ウィルソン主義(Wilsonianism)という言葉で記憶されている。

ウィルソン主義は、冷戦を終結させた30年前の1989年の東欧革命の際にも、よく思い出された。なぜなら冷戦の終焉は、自由主義の勝利として理解されたからだ。

実際、1990年代以降の世界においては、自由主義的価値観を基盤としたアメリカが主導する国際秩序の強化が、大きな潮流となった。ウィルソン主義が、世界を席巻していると考えられた。

今日、そのような時代の流れは、過去の歴史の一コマとなっている。

 

2018年は、自由主義を基盤とする国際秩序が、停滞し、退潮していることが、さらにいっそう明確になった年であった。

かつて日本は、アメリカ主導の国際秩序に反旗を翻した。そして第二次世界大戦にアメリカを引きずりこむことによって、大きな歴史の流れを作った。戦後、日本は自由主義的価値観を標榜し、アメリカの同盟国となることによって、国際秩序の安定化に寄与した。

今、日本が、弱体化している自由主義的な国際秩序の維持・強化にあらためて貢献できるかが、問われている。2018年にも問われたし、2019年においても問われ続けるだろう。

〔PHOTO〕gettyimages

米中新冷戦の時代

現代の国際政治の仕組みを大きく決定しているのが、超大国・中国の勢力拡大と、それに伴う米中の間のせめぎあいである。

中国は、自由貿易の原則を吹聴する世界第2位のGDPを誇る経済大国となった。しかし、人権の分野では、必ずしも自由主義的価値観を標榜する国となっているとは言えない。

それどころか権威主義的体制を維持したまま超大国化した中国の存在は、世界の数多くの権威主義体制に、勢いを与えている。

人権擁護や民主化などの条件を付して行われていた自由主義諸国が主導していた国際的な援助体制は、巨大ドナーとしての中国の台頭によって、大きな挑戦を受けることになった。

権威主義体制をとる国は、もはや援助のために自由主義的価値観を受け入れる必要がない。中国の経済発展を見習い、中国の支援を期待して、国家運営をしていけばよいからである。