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日本メディアが伝えない「ドイツのまったくめでたくない年初め」

排ガス規制、難民問題、EUの苦悩…

ついにディーゼル車が走行禁止に

新年あけましておめでとうございます。今年も、主要メディアが伝えないドイツのニュースを、個人的な感想を交えつつお伝えしていきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

実は、同コラム、新年にふさわしいニュースが見つからなさそうなので、第1週目はお休みにしようと思っていた。

たとえば、1月1日から、私の住むシュトゥットガルトの市内ではディーゼル車が走行禁止となった。だから、暮れから毎日、ニュースをつければ必ずその話題。見慣れた街並みの映像が飛び込んでくるが、もちろん、全然めでたくない。

何人かの知り合いと暮れの挨拶の電話をしていたときも、最後に「シュトゥットガルトにいらっしゃることがあれば連絡してください」と言ったら、そのうちの二人が冗談と皮肉の入り混じった調子で、「うちの車では入れてもらえませんよ」と返してきた。ドイツでは、登録車の約4割がディーゼル車だ。

ディーゼル車は排ガス基準によりeuro1からeuro6までのレベルに分けられている。そして、そのうちeuro1から4までが、元旦よりシュトゥットガルト市内に入れない。今のところ、無視して入っている人もいるようだが、本来なら違法行為だ。euro5は執行猶予中で、この1年で大気汚染が改善されなければ、来年からやはり市内侵入禁止となる。

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問題になっているのはPM、つまり、ばい煙、粉塵、硫黄酸化物などの微粒子で、その最大の犯人がディーゼル車とされている。そのため、以前よりDUH(ドイツ環境支援)という環境保護団体が大気汚染のひどい町でのディーゼル車の走行禁止を求めて裁判を起こしており、去年、いくつかの判決が出たが、一番厳しかったのがシュトゥットガルトで、市内全域が走行禁止となった。

例外は救急車、タクシー、配送車など。また、身障者や手工業者は、申請すれば走行が許されるそうだが、その他の市民は、3月末までの猶予が与えられているだけ。皆、「だったらどうすればいいの!?」というところだ。その他、郊外から市内に車で通勤している人も7万2000人おり、困っている。

車に浄化装置を取り付ければPM値は下がるが、問題は、誰がその費用を持つかだ。本来ならVWなど不正を行っていたメーカーが持つのが筋だが、値段が張るため頑なに拒否。しかもVWは、その装置の取り付けを阻止しようと動いているため、大いに顰蹙を買っている。

 

そうする間にも、さらにベルリン、フランクフルト、ケルンといった大都市を含む34もの自治体で、同様の訴訟が進んでいる。

ただ、ここまで戦々恐々でやっているのに、ディーゼル車を減らして、PMがどの程度改善されるかは不明だ。工場もばい煙を出すし、大晦日にドイツ人が夢中になる打ち上げ花火では、数時間のあいだで4.5トンのPMが出るらしい。

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4.5トンというのは、ディーゼル車が1年間に排出するPMの2ヵ月分に相当するといわれ、この調子でいけば、そのうち花火も禁止? というわけで、こんな憂鬱な話で今年最初のコラムを飾るのはよそうと思っていたわけだ。

ところが、元旦早々、さらにひどい事件が伝わってきてしまい、寝正月を決め込んでいるわけにはいかなくなった。

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