元経済ヤクザが分析「米中代理戦争は、この地で起こる可能性」

私のもとには、彼らの悲鳴が届いている
猫組長(菅原潮) プロフィール

獰猛な猛禽類と、守る虎

この日本経済崩壊の流れの中で、1983年からの2年間、レーガン政権下で米通商代表次席代表を務め、日米間の最前線で交渉に立った人物こそが、現在、トランプ政権で通商代表を務める、ロバート・ライトハイザー氏(71)だ。また、企業買収と売却によって、痛みを伴う再生を実践してきたハゲタカの一人、ウィルバー・ロス氏は、トランプ政権で商務長官を務めている。

このことから考えれば、アメリカが80年代以降実施してきた対日対策を、現在中国に対して実行していることは明らだ。実際、構造改革については、すでにトランプ氏自ら要求済みだ。

では、歴史を鑑みるなら日本同様、中国はアメリカに屈する……となるのだが、中国の実力を見誤るのは危険なことだと私は考えている。マネーの世界で生き残るために必要なのは、冷静な評価分析である。中国が、80年代からアメリカが日本に対して行ったことを研究していないはずがない。

 

昨年の米中貿易戦争勃発からここまで、アメリカの急激な政策転換を正当に評価できず、中国は後手に甘んじてきた。しかし、昨年12月1日の米中首脳会談から、同29日の電話会談で、中国側が態度を改めたことは明らかだ。

先の学習能力の評価を併せれば、中国はアメリカに、ただ譲歩してもろ手を上げたということではなく「防御に回った」と私は考えている。

根拠の一つが、中国が石油備蓄量を増やしている、という地下経済からの観測だ。戦略物資である石油を蓄えることは、あらゆることに対する備えだからである。実際に1月6日には、習近平氏が中央軍事委員会で「軍事闘争の準備」を呼び掛けた。

この発言がアメリカに対する「けん制」だとされているが、何より中国には独自の経済・外交圏を築き上げるという「一帯一路」構想がある。

新興国のインフラ開発にAIIB(アジアインフラ投資銀行)を通じて融資し、焦げ付いた国からは陸路や海路の拠点を合法的に収奪する――中国共産党運営の「国家ヤミ金」の恐ろしさは伝わりつつあるものの、ギリシャ・ピレウス港、スペインのバレンシア港、スリランカのハンバントタ港など海洋拠点を手中に収めることに成功している。

中国にしてみれば、アメリカと太平洋を挟んで全面対決を急がなくても、ユーラシア大陸西側に向かうことに集中すればいいだけの話だ。貿易を軸にした米中対立は、「雪解け」ではなく「こう着」というステージに進んだというのが、私が合理的に導き出した答えである。