2018年のIPO案件を総括すると見えてくること

さて、2019年はどうなる…?
田中 博文 プロフィール

申請期売上高50億円以上で半数以上

売上高 経常利益

売上高については、2016年、2017年と売上高50億円以上が増加していたのが、2018年は50億円~100億円、100億円~500億円が減少した代わりに、10億円未満が2017年の5社から10社、10億円~20億円が14社から17社と増加し、案件が小粒になってきています。

一番売上高が小さいのは、医薬品等の研究開発、製造、販売を行っているDelta-Fly Pharmaの2億円、一番大きいのはソフトバンクの3兆7000億円でした。

経常利益も減少傾向でした。5億以上の各階層全てで件数が減少し、一方で、1億円未満、1億~2億が増加することになりました。一番利益が小さかったのは、Delta-Fly Pharmaの経常赤字7億3900万円。一方で経常利益が一番大きかったのはやはりソフトバンクの7000億円でした。なお、メルカリの利益は非開示となっています。

2017年との比較ですが、2017年は2016年比で、利益のレンジが全体的に右寄りになり、利益の増加傾向が見られ、明らかに企業業績が伸長している証左でしたが、2018年は売上・利益共に減少傾向であり、日本経済の今後の見通しに一定の示唆を与えるものだったと考えています。

従来からの申請期売上高 50億円程度、経常利益は1億円以上5億円未満という発行体のイメージが引続き踏襲されることとなりました。

 

予想PERの平均は2017年の18.7倍から24.3倍へ

予想PER

次に公開価格(※初値ではない)による予想PERですが、PERが一番高かったのは、印刷及び集客支援のシェアリングプラットフォーム「ラクスル」を中心とした印刷事業、物流のシェアリングプラットフォーム「ハコベル」を中心とした運送事業等、産業毎のシェアリングプラットフォームの創出のラクスルが4838倍と突出、次に高いのが勤怠管理、経費精算、工数管理等を一体化したクラウドサービス「TeamSpirit」等の提供のチームスピリットが574倍でした。

ラクスルは、一時の、Gunosyの5241倍、フリークアウトの6451倍、アキュセラインクの2195倍を彷彿とさせる水準でしたが,ラクスルは上場翌期の今期は利益を非開示としています。また、バイオ系2社の赤字を除いた会社でPERが一番小さかったのは、投資用新築一棟賃貸マンションの用地仕入・企画設計・施工・監理・賃貸仲介・賃貸管理等のグッドライフカンパニーで4.8倍でした。

全体の予想PER平均は2014年が22.4倍、2015年が19.8倍、2016年が16.4倍と、ずっとバリュエーションが下がって来ていた中で、2017年に18.7倍と回復し、今回24.3倍と近年では一番高い水準となりました。