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あなたの老後を救う「住まいのトリアージ」とは何か

家を解体する?それとも誰かに貸す?
住まいを「終活」するとは、聞きなれないフレーズかもしれない。だが、大量相続時代が訪れつつある日本では、誰にとっても必須となってくる。先月発売され、特別付録「書き込み式 住まいの『終活』ノート」が話題を呼ぶ『老いた家 衰えぬ街』(講談社現代新書)の著者・野澤千絵氏が、住まいを「終活」する具体的な方法を、あなただけに明かす。

具体的に何をどうすればよいのか

日本は、住まいを「終活」する(*1)ことが必要な時代になっていると、拙稿(知らない間に、あなたが「見知らぬ空き家の所有者」になる恐れあり、2018年12月26日公開)で紹介した。

では、相続が発生する前の段階から、住まいを「終活」していくためには、具体的に何をどうしていけばよいのだろうか?

一般的には、以下のような流れとなる。

①不動産のリスト化と地番を調べる
②不動産に関する基礎資料を揃える
③不動産に関する情報を整理する
④まちに関する情報から民間市場での流通性を判断する
⑤自分たちが所有する、あるいは将来所有する予定の「住まいのトリアージ(選別)」を行い、今後の選択肢とそのための相談先を考える

そこで、以下では、「住まいのトリアージ」の概要について紹介しよう。

 

「住まいのトリアージ」とは?

「住まいのトリアージ」とは、住まいの老朽化度・広さ・間取り・立地などの物的な条件と、エリアの特性や近隣・コミュニティの状況を見極め、住まいやその跡地の選択肢を検討することである。

実は、2013年に事実上の財政破綻し、深刻な人口流出で空き家・空き地だらけとなったアメリカのデトロイト市のランドバンクでも、実際に、空き家や空き地のトリアージ(*2)を行っている。

こうした「住まいのトリアージ」の参考となるよう、図表1に、「民間市場で流通性がある物件・エリア」と「民間市場で流通性が低い物件・エリア」に分けて、戸建ての場合の選択肢と相談先の例を整理した。

なお、相続放棄という選択肢は、その多くが住まいを「責任ある所有者・利用者」へ引き継ぐことにはならないため、図表1の選択肢からは除外している。

図表1 住まいのトリアージ~戸建ての場合

戸建ての場合の住まいのトリアージ

では、実際に、「民間市場で流通性がある物件・エリア」にある戸建ての場合を考えてみよう。

まず、その住まいについて、「建物状態が良いためそのまま使える」 「リフォームをすれば使える」 「建物は古いけれどリノベーションをすれば使える」といった場合には、「建物を活かす」ことを検討することになる。

そして、「建物を活かす」場合の主な選択は、「中古住宅として売る」「建物を事業用として貸す」「建物を地域貢献目的として貸す」などが挙げられる。

一方、「建物の老朽化がかなり進んでおり、中古住宅として売ることが難しい」「相続発生後、空き家管理の手間や金銭的な負担が大きく、近隣に迷惑をかけないか心配」「敷地規模があるので宅地開発業者に売るほうが良さそう」「土地活用で収益を確保したい」「いずれ戻ってきて住宅を建てる可能性があるので、暫定的に保有しておきたい」などのニーズがある場合には、「建物を解体する」ことを考えることになる。

そして、「建物を解体する」場合の主な選択肢は、「跡地を売る」「跡地を事業用・暫定保有用として貸す」「跡地を地域貢献目的・暫定保有用として貸す」などが挙げられる。

民間市場で流通性がある戸建てを「売る」

住まいのトリアージにより、住まいやその跡地の選択肢を検討した後、それぞれの選択肢ごとに、あらかじめ、どのような情報収集をしておくべきなのか?

例えば、「民間市場で流通性がある物件・エリア」を対象に考えてみよう。

まず、中古住宅として「売る」という場合、一般的には、不動産会社等の仲介で売却するか、買取事業者等への売却をするかになる。物件の立地や状態とともに、物件をいつまでに売却したいのか、売却希望価格などとの関係で検討することになる。

中古住宅として「売る」場合に情報収集すべき内容としては、どのような不動産会社や買取事業者があるか、である。

不動産会社といっても、大手もあれば、小さくても地元に強いところもあるので、インターネットで調べるだけでなく、事前に、地元の知り合いなどから、その業者の評判などを聞いておくと安心である。