現代新書の編集者が嫉妬した、他社の新書をこっそり明かします

女子東大院生が現代新書編集部を直撃④
現代新書編集部 プロフィール

教養新書がひとつのポイント

ナナ:そろそろ新年のお話に移りましょう。まずはみなさん、2019年の新書予測をお願いします! こんな本が売れそうとか、何が流行しそうとか。

ハジメ:(鍋のうどんをすくいながら、さも偉そうに)俺の予測はけっこう当たるので、悪いけど、ちょっとここでは言えないなぁ。

マル:「編集部から俺がいなくなる」、みたいなことですか?

一同:(笑)

リュウ:そういう人事話をすると、ウェブに掲載できないですから(笑)。

ハジメ:で、でも、マルが、俺の寝首をかこうとしている疑惑は、前から部内で囁かれてるよ。現代新書の斎藤道三だって……いや、ヨネも危ないなぁ……まさに現代新書は下克上の様相を呈し始めた……

って、いい加減、誰か突っ込んでくれ。ウェブにこのまま載ったら実話みたいじゃないか!(涙)

リュウ:2019年、現代新書はバラバラになるという予測ですね(笑)。

ヨネ:アチッ!(鍋の汁が手に飛びはねてヤケド) 冗談はさておき、ジュンさんは予測としては、どうお考えですか? 平成が終わって、オリンピックが迫ってきて。

ジュン:春頃はおそらく、代替わりに関係する新書がたくさん出ますよね。ただ、新聞やテレビでもたくさん特集を組むでしょうし、タイムリーというだけではおそらく話題にはならないのではないかと。

いまが時代の変わり目にあるのは確かですから、「原点回帰」ではないですけど、哲学や歴史などがやはり読まれる気がしています。

マル:呉座勇一さん『応仁の乱』(中公新書)のヒット以降、日本史をはじめとする教養新書の元気の良さは誰もが実感しているところではあるし、これが来年も続くか、というのはひとつのポイントになると思うんです。

いまの日本史のブームがどこにいくのだろうか、という……。結局、何が売れるかはわからないわけですが、そのあたりのことは、ひとつの鍵を握っているのではないですかね。

ヒロシ:あとこの間ジュンさんに教えてもらって、30年近く前の雑誌に載っていた「若手新書編集者の座談会」という記事を読んで、「新書には女性と若者の読者が少ない」と書いてあったのだけれど、これは今の現代新書にも当てはまることですよネ。

マル:仰る通り、現代新書のメイン読者層は男性です。

ヒロシ:だから今、自分たちが一生懸命考えているようなことも、すでに、以前になされていることもあったりするので、過去の歴史を知らないで、無駄なことをやっていることも、案外多いのじゃないかなァ。

そういうことを見直すと、何か、ヒントがあるのかモ。

マル:「歴史は繰り返す」、ということはありますよね。

どうバランスを取ってゆくか

ハジメ:無駄を省くなんて、ヒロシさんもそんな合理的なことを考えることがあるというのも、面白いなぁ。

リュウ:そもそも、新書自体が、これからどうなっていくのでしょうね。僕は、書籍の中でも、シェアがしばらくはますます上がっていくのではないかと思うのですが。

ハジメ:そうなると、新書は、「今の新書」のままではいられない、という問題も出てくると思う。新しい可能性をどんどん試していくことになりそうだね。

リュウ:2018年も、暴露本をはじめ、いろいろと出ましたからね。

マル:ただ、あまり「飛び道具」的なものを出しすぎてしまうと、数年で飽きられてしまって、読者が離れていくということもあるかもしれない。最終的に生き残るのは、王道の歴史や教養ものになるかと思うのですが。

ハジメ:そこは、難しいところ。僕の考えは少し違っていて。もちろん、教養系は大事で、一定の割合では続けていく必要があるのだけど、10年前と違って、今は必ずしもそれだけやっていればいい、というわけではないという面もある。

現代新書も、「三大教養新書」の一角を占めるとは言われてきたけど、50年にわたる創刊以来のラインナップを見ていると、これまでも決して教養一本だったわけではないんだよね。

マル:バランスの問題ですね。

 現代新書のキャッチコピー

ナナ:2019年のことでは、ハジメさんから「現代新書のキャッチコピーを決めたい」、というお話がありました。

ハジメ:そうそう。何か、コピーがあるといいなと。新聞宣伝の「現代新書」というシリーズ名に添えるような。たとえば、「ベストセラーも教養も」みたいな!

リュウ:「1周回って現代新書」とか、どうですか? 

ハジメ:おお、おもしろい! 

キャッチコピーは、ずっと同じでなくても、毎月変わっても良いと思うんだよね。よし、じゃあ2019年は、みんなで毎月1語ずつ、付けてみようか!