©NHK 「いだてん 東京オリムピック噺」公式HPより

2019年大河の主役!金栗四三が「箱根駅伝」のコースを決めた理由

日本を世界に連れて行くための情熱

箱根駅伝が好きすぎて箱根山中に家を買った大バカ編集者として紹介されてはや3年。ふるさと納税も箱根町に納め、土着化計画は進行している。

私はもちろん出雲も全日本も、さらにはニューイヤー駅伝も都大路(高校駅伝)も楽しみに見ているが、それでも心から愛しているのは箱根駅伝だけだ。もっと言えば、箱根駅伝の5区と6区(山上りと山下り)を偏愛していると言ってもいい。そう思っている人は絶対に少なくないはず。〝山〟がなかったら、たぶん視聴率だって4~5%は下がるんじゃないだろうか?

だから私は、以前から箱根駅伝の創始者・金栗四三(かなぐり・しそう)という人に興味を抱いていた。その彼が、1月6日から始まる2019年の大河ドラマ『いだてん 東京オリムピック噺』の主人公だというではないか! しかも脚本は『あまちゃん』の宮藤官九郎、金栗役は中村勘九郎だ。楽しみで仕方ない。ちなみに、いだてん(韋駄天)とは仏教における増長天の八将で、走る神とも言われており、足の速い人の例えとされている。

 

「山を走る」金栗四三のこだわり

しかし箱根駅伝ファンとしては、オリンピックより、金栗四三がどうしてこんな奇抜なコース設定にたどり着いたのだろうと、それが気になっていた。そこで箱根山中で、彼の着想のヒントになったと思われる事象をひろいあつめてみた。

箱根駅伝恒例、レース前の監督インタビュー(2017年のもの)。湖と山を望みながら青山学院原監督がインタビューに応えていた 撮影/花房麗子

箱根駅伝でMVPに贈られる賞は、「金栗四三杯」という。2004年に新設された個人賞で、主な表彰者は今井正人(順天堂大学)、柏原竜二(東洋大学)、神野大地(青山学院大学)……そう、3人の「山の神」だ。

ただ、あまり知られていないが「金栗四三杯」は日本にもう一つ存在している。富士登山駅伝の「一般の部・優勝チーム」に贈られるのがそれだ。金栗四三は箱根駅伝の7年前、大正2(1913)年に「富士登山競走」を開催しており、それを記念して命名されたという。その4年後、金栗は〝富士を征服することこそ最高の練習法である〟と公言して学生を引き連れて合宿を行い、14日間毎日、率先して富士山を駆け上がる。それは毎年のように続いた。これって、トレイルランニングなんじゃないだろうか?

実は箱根はトレランの聖地、でもある。

富士山と箱根1号線の間には、トレイルランナーたちの憧れといわれる箱根外輪山50kmの長大なルートが横たわる。2007年には「OSJ箱根トレイルレース」が実施され、1000名を超えるトレイルランナーが箱根山中を駆けた。が、ただでさえ多い登山客から「横を駆け抜けられて怖い」と苦情が出て、たった一度だけで中止になり、今では「伝説のレース」になってしまったというオチまでついている。

あのミスター長嶋茂雄も若い頃、毎冬の自主トレとして外輪山最高峰・金時山まで駆け上がっていた。箱根の山には「癖」になる何かがあるのだ。

箱根外輪山最高峰・金時山の山小屋「金時茶屋」には登山者の登頂回数を記録する名札が下がっている。100回を超えると札がかけられ、なんと5000回を超える者も! 撮影/花房麗子

箱根駅伝のルート設定にあたっては、当初「日光―東京」「水戸―東京」「箱根―東京」という三候補が上がったが、「平坦なルートだけでは鍛錬にならない」という金栗の主張が通った形になって「箱根―東京」に決定したという。