丸佳浩は巨人の「緊張感とストレス」に耐えられるのだろうか

恵まれた環境に人はなかなか気づかない
週刊現代 プロフィール

確かに評価はしてくれた

自分をここまで育ててくれた球団への恩義に報いるか、それとも心機一転して新天地に挑むか。

日々揺れ動いていた丸の心を射止めたのは、原巨人が見せた「三顧の礼」だった。
なによりもまず驚くべきは、やはりその「破格」の契約条件だろう。

今回、巨人が丸に提示した5年契約の推定金額は、約35億円。単純に年俸を計算すれば、約7億円にもなる。

今季の巨人の最高年俸は、菅野の4億5000万円。球団は、2年連続沢村賞を獲得したこの絶対的エースをしのぐ評価を丸に与えたということになる。

 

このあまりの厚遇ぶりには、巨人OBで元監督の堀内恒夫氏も、ブログで「(他の選手の金額と比較して)チームのバランスがおかしくなってくる」と苦言を呈したほどだ。

かねてから高額年俸の提示が噂されていた巨人に対して、広島も手をこまねいていたわけではない。丸の慰留のために広島が示した条件は、4年総額17億円ともいわれる。

そして、地元出身のスター選手の獲得に名乗りをあげたロッテも、6年総額30億円と、将来の「監督手形」をも用意して交渉に臨んだと報じられた。

決して実入りの多いほうではない2球団が見せた最大限の誠意。だが、無尽蔵の資金力を持つ巨人の前には、手も足も出なかった。

巨人が丸に用意していた厚遇は、金銭面だけにとどまらない。

交渉の日、丸に示された背番号は原監督自身が現役時代に背負っていた「8」。さらに高橋由伸前監督の「24」も一緒に提示されたという。

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そして、自分への高い評価にすっかり感激した丸を落とすうえで決定打となったのが、原監督が温めていた「殺し文句」だった。

原監督は、丸の目を見据えはっきりとした口調でこう言った。

「巨人に、新しい血を入れてくれ」

目もくらむような大型契約に、球史に残る名選手たちから受け継がれた背番号。そして、実に7回のリーグ優勝を果たした名将から直々に告げられた熱烈なラブコール。

たとえ、どんなに所属する球団を愛していたとしても、切れる手札をすべて切り尽くす巨人のこの「猛攻」の前に心が揺るがない選手が、果たしているだろうか。

かくして、丸は移籍を決断、巨人に入団した26人目のFA選手となった。

丸の今季の打撃成績は打率・306、39本塁打97打点。申し分のない数字だが、一番注目すべきはリーグトップの・468を誇る出塁率だ。およそ、2打席に1回は出塁する計算になる。