大地震でエレベーターに閉じ込められた時に「尿意」どうすべきか…?

作家・林真理子さんの 切実な心配にお答えします
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排泄場所を1ヵ所に決める

それでも、訪問看護師の上田浩美氏によれば、応急処置的に尿意や便意をごまかしてしまう方法もあるという。

「肛門や膣に力を入れたり、緩めたりする骨盤底体操は効果があるでしょう。この運動は、日常的に行えば、尿漏れにも効果があるとされています。膀胱の異常収縮が抑えられ、一時的ではありますが、尿意を緩和することができます」

便意を抑えたい場合は、肛門の力を抜いてしまうと一気に「出て」しまうこともある。前かがみになって耐えようとすると、かえって腸に負担がかかるため、横になるなどの楽な姿勢を取り、肛門を締めるのが効果的だ。

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だが、「応急処置」の効果は、あくまで一時的なもの。あまりにも長い時間、尿意や便意を我慢しすぎることは、重大な健康被害につながる。消化器外科医で、大腸がん検診の普及活動を行う、日本うんこ学会会長の石井洋介氏が警告する。

「とくに危険なのは、小便の我慢です。長時間尿を溜め続けてしまうと、尿路感染症を引き起こすかもしれません。悪化すれば、発熱したり、腎盂腎炎を発症することもあります。

体の構造上、大便を溜め続けるのは難しい。それでも、もし我慢が続けば、腸閉塞を患う可能性は十分にあります」

 

つまり、閉じ込められた場合、無理に我慢をせず、恥ずかしがらずに、尿意や便意を周囲の人に伝えるしかない。そのうえで、腹をくくって排泄をしてしまうほうがよい。

周囲の人に了解を取り、用を足す際も、注意が必要だ。自分の排泄物だから、と各々で管理するのは好ましくない。石井氏が語る。

「排泄物をそのままにすると、人体に影響のある細菌が繁殖してしまう可能性もあります。できる限り、排泄する場所を全員で1ヵ所に決めておくことが大切です」

排泄場所を1ヵ所にまとめるだけでは、密室内に臭いが充満するのは時間の問題。少しでも臭いを軽減するために重要なのは、水分を飛ばすことだ。

「理想的なのは、携帯トイレを利用することです。携帯トイレには凝固剤入りの袋状のタイプと吸着シート状のタイプの2種類がありますが、どちらも排泄物を固化させることができる。

これにより、小便や大便を袋の外に流れ出にくくする効果があるうえに、その臭いを軽減することもできます」(前出・加藤氏)