日本列島が真ん中辺りで折れ曲がっている理由、知ってた?

フォッサマグナをわかりやすく解説!
齋藤 海仁 プロフィール

「フォッサマグナ」は地球で唯一の地質構造

最初に日本列島の地図を用意して、じっと眺めてみてほしい。地図がなかったら、日本の形を描いてみてもいい。どんな形をしているだろうか。

北から見ていくと、菱形のような北海道がある。次に南に向かってまっすぐ東北地方が延び、本州は関東地方で南西に折れ曲がって中部、近畿、中国と続く。その南に四国。そして、九州、南西諸島という感じだろう。

 

こんな単純な地図のなかにも実はフォッサマグナの爪あとが見てとれる。

フォッサマグナは日本列島を真っ二つにわける陥没地帯である。だとしたら、どこがいちばん可能性が高いだろうか。ちょっと考えてみてほしい。すでに糸魚川―静岡構造線という名前が出てきているから、もうおわかりかもしれないが、本州が折れ曲がる信越地方と関東地方周辺がそこにあたる。

フォッサマグナを境に南北で日本列島が折れ曲がったことは、石に記録された昔の地磁気から明らかになっている(こうした研究分野を古地磁気学という)。もしフォッサマグナがなかったら、本州はニュージーランドのようにまっすぐに並ぶ列島だった可能性が高い。

確かに世界中を見回しても、日本列島のように長い山脈を完全に分断する地質構造は存在しない。ナウマン博士いわく「フォッサマグナに比較できるようなものは、世界中、他のどこにも例がない」のである。

なお、糸魚川―静岡構造線はフォッサマグナの西の境界であり、東側は柏崎―千葉構造線と新発田―小出構造線のふたつの断層とされている(東の境界は地下にあり明瞭でないため異論もある)。石油を探すために行ったボーリング調査から、深さは6000メートル以上あることがわかっている。フォッサマグナの外側の陥没していない越後山脈は標高2000メートル級だから、ギャップは8000メートル以上。ヒマラヤ山脈級の溝が日本列島の真ん中に存在することになる。まさしく「大きな溝」だ。

さらに、日本列島にはフォッサマグナの構造線よりもずっと長い断層がもう一本あるのをご存じだろうか。約250キロの糸魚川―静岡構造線に対し、その長さは1000キロ以上。日本の地形図の上に重ね合わせてみると一本の線がはっきりと見えてくるから面白い。

試しに地図でその線がわかる場所をたどってみよう。長野県の諏訪湖から天竜川に沿ってほぼ南に延び、愛知県の伊良湖水道、紀伊半島、淡路島の南の縁を経て四国から豊後水道、九州に至る。伊良湖水道、淡路島の南端から吉野川、そして佐田岬と佐賀関を結ぶラインは特にわかりやすいはず。どうだろう。日本列島の上にくっきりと一本の線が浮かび上がったのではないだろうか。

この構造線を見つけたのもナウマンだった。名称は「中央構造線」である。

フォッサマグナと中央構造線は日本列島の成り立ちを解明するうえで非常に重要な手掛かりとなった。

中央構造線を西からたどると、愛知県で東西から南北に急に向きを変え、諏訪湖で糸魚川―静岡構造線と交差してぷっつり途切れてしまう。フォッサマグナで陥没したためだ。すなわち、中央構造線のほうが糸魚川―静岡構造線より先に存在していたことになる。