元東京地検特捜部エースが語る「日産VS.検察」の行方

「私がもし弁護するならば」
週刊現代 プロフィール

ゴーンが民事訴訟で反撃も

特捜に対峙する弁護士は先述した大鶴氏のほか、ケリー氏の弁護を務める喜田村洋一氏だ。集団訴訟に発展した'80年代の薬害エイズ事件を担当した「人権派」と、大鶴氏は共闘体制を取る。

「昨日の敵は今日の友というか、喜田村さんは検事時代の大鶴さんをコテンパンに批判してきた人ですからね。まだ深い打ち合わせはしていないみたいですが、喜田村さんは『あいつ、俺になんて言ってくるんだろうな』と笑っていたそうです。

大鶴さんはポジションを取るのが上手い人なので、今回の共闘もやりきると思いますが」(司法関係者)

ゴーン氏が仕組んでいた巧妙な資産迂回ルートの解明に、検察が頭を悩ませているのは間違いない。だが、ゴーン氏の会社資産の私物化に対して、クビ覚悟で告発をした日産幹部の志を無下にすることはできない。

ゴーン氏は、多額の報酬を退職後に受け取る契約になっていた。この理由について、逮捕後の氏は「社員の士気が下がるから、報酬を少なく見せるようにした」と話す。

社員の気持ちを逆なでするような理屈だ。

 

いずれにしても、検察が刑事訴訟で有罪を勝ち取れなければ、大変なことになる。ゴーン氏は国、そして世界各国の日産を相手に民事訴訟を起こし、100億円単位の損害賠償を請求するだろう。

「'10年の大阪地検特捜部の証拠改竄事件以来、日本の検察の名誉挽回は至上命令。適用2例目にして司法取引が形骸化すれば、検察の権威は地に落ちたも同然です。

さらに、ゴーン氏は『世界最強』と目される米国の法律事務所とも契約を結んだ。日本の刑事訴訟には関与してきませんが、今後、世界各地で起こすであろう民事訴訟に向けて先手を打ったというわけです」(全国紙司法担当記者)

ゴーンVS.検察の「役者」は出揃った。絶対に負けられない闘いは、ひとまず続くことになるだろう。

「週刊現代」2018年12月15日号より