妻を絶望させる5大セリフ
このほかにも、妻が絶望する夫のセリフをリストアップする。夫の意図とは関係なく、妻にどう聞こえるのかを説明しよう。もし心当たりがあるなら、妻の不機嫌は、このセリフのせいだと心得てほしい。
① 「だったらやらなくていいよ」
家事が大変だと訴える妻に言うと、 「君がいつもやっていることは、僕にとってはそれほど重要ではない。やらなくても気にならない」と聞こえる。
② 「つまりこういうことだろ ?」
愚痴に対しては「わかるよ。大変だね」と共感するだけで十分。頼んでもいない要約や解決策の提示は余計なストレスを増やすだけ。
③ 「おかず、これだけ ?」
夫が自分が食べるご飯の量に対してのおかず量の塩梅を、あらかじめ計るために聞いたひとことでも、 「たったこれしかないの ? 」と聞こえる。余計なことは言わずに様子を見よう。
④ 「今日何してたの ?」
家事が思うようにできなかった妻には「 1 日家にいて、家事も満足にできないのか」と聞こえる。
⑤ 「いいな〜君は。 1 日〇〇(子どもの名前)と一緒で」
それが何よりツライと感じている妻もいる。そういう自分を責めていたりもする。
以上のリストの中で、特に要注意は④と⑤だ。また、妻が専業主婦や育児休暇中である場合、このセリフは致命傷となる。出産前はコントロールできていた家事が、子どもの誕生をきっかけに、コントロールできなくなっているからだ。
夫はつい、 「専業主婦なんだから、時間あるだろ」「会社には、仕事しながら子育てしている部下もいるぞ」と言ったりしてしまい、傷を広げがち。特に、優秀な専業主婦を持つ夫ほど、妻の家事労働の量や大変さに気づきにくい。プロセスを見逃す男性脳は、妻が要領よく家事をこなしていると、「本当に楽な仕事」に見えてしまうからだ。

仕事と育児を両立している主婦は、初めから家事を諦めることを知っていて、プライオリティの高いものしかやらないし、夫と分担することに罪悪感もない。しかし、専業主婦は、昼間はまったく思い通りにならない子どもに付き合い、家事も完璧にやろうとして追い詰められていくのである。
妻の怒りはきずなの強さ
夫にとっては、甚だ危険で、理不尽な妻の怒りだが、実はこれ、きずなの強さゆえなのである。母性本能は、生まれつき女性脳に備わっているもので、恋人時代から「理不尽な不機嫌」の萌芽はあるが、特に周産期(妊娠、出産)と授乳期に強く現れ、子育て妻の望む夫の対応と夫が提案する解決策が根本からずれているからなのだ。
実は、脳科学的に「いい夫」とは、ときに妻の雷に打たれてくれる夫のことだ。
女性脳は、家事と育児を片付けるため、生活の中で、あらゆる気づきとタスクを多重で走らせている。このため、日々をただ生きているだけでストレスがたまる脳なのだ。さらに周産期から子育て中の女性は、ホルモンバランスが激変していくので、生体ストレスが半端ない。
女性たちは、ときどき、このたまったストレスを〝放電〞する先を探しているのである。そんなとき、まんまと夫が何か気に障ることをしてくれると、気持ちよーく放電できるのである。
夫が完璧だと、その放電先が子どもになったり、自分に跳ね返ってうつに転じたりして、危なくてしょうがない。いい夫とは、 「おおむね優しくて頼りがいがあるが、ときに下手をして、妻を逆上させる男」にほかならない。
逆上されたからといって、すべての原因が夫なのではないのである。だから、原因を真面目に究明しようとしても、公明正大に改善しようとしても、まったく埒が明かない。女はただ怒るために、怒っている。本人も気づいていないけれど。
……そう、女は、本当のところ、かなり理不尽なのである。
しかし、その女性脳のストレスは、夫の 6 倍近い家事や「家族のための気づき」を休みなく行っている結果たまったものだ。その放電の手伝いをするのは、ある意味、理にかなっていると言えなくもない。
夫が家事を完ぺきにこなしてやり、親身に話を聞いてやれば、放電は少ない。家事や会話をさぼれば、放電は多い。女と暮らさなければ放電はないが、生活をすべて自分で回さなきゃならないし、多くの場合、生きる意味を見失う。男の人生とは、この三択なのである。さて、あなたは、どれを選ぶのだろうか。
昔は、怒りを爆発させることを「雷を落とす」と言ったものだが、ストレスの放電は、雷に本当によく似ている。
なぜなら、 「一番、高いところ」に落ちるからだ。
夫って、なぜだろう、この世で一番腹が立つ。そういう女性は、とても多い。さもあ
りなん。だって、それは、夫が彼女の脳の中で最も高い場所にいるからだ。最も期待し、最も求めている相手だから。
つまり、理不尽な怒りもまた、愛なのである。
夫婦というのは面白い。
理不尽な妻との上手な付き合い方とは?女性脳の仕組みを知って戦略を立てよう!「妻が怖い」「妻の顔色ばかりうかがってしまう」「妻から逃げたい」という世の夫たちが、家庭に平穏を取り戻すために必読の一冊でもある。