2018.12.30
# 妻のトリセツ # 黒川伊保子

不機嫌な妻のトリセツ――あなたが妻を絶望させる禁断のセリフとは

平和な家庭を築くための脳科学
黒川 伊保子 プロフィール

つわりで苦しむ妻に対し、思いやりのつもりで自分だけ外食したり、弁当を買ってきたりするのもNG。身動きのとれない妻の命綱は自分が握っているのだと自覚し、必ず妻の食べたいもの、飲みたいものを聞いて、可能な限り希望を叶えなければいけない。
 
命をかけて出産した妻に向かって、自分が産んだわけでもないのに、「楽なお産」などと言ってはいけない。
 
育児中の妻への勘違いアドバイスも厳禁だ。赤ん坊が泣いてばかりいる、寝ない、おっぱいを飲まない、体重が増えない、家事ができない、とイライラしている妻は、実は責任感が強く、うまくいかないことに対して、自分自身に強い憤りを感じている。そこを、夫が指摘すれば、一気に絶望的な気分になってしまうのだ。
 
散らかり放題の部屋で泣いている妻には、「心配するな。俺がなんとかする ! 」と声をかけて抱きしめよう。ご飯がなければ、冷凍うどんと卵で釡玉うどんでも作る。これだけで、妻は十分嬉しい。ネガティブからポジティブへと記憶が変わる瞬間だ。

 

「言ってくれればやったのに」

周産期・授乳期に限らず、ふだん何気なく夫が口にするセリフにも、妻をひどく傷つける言葉がある。その代表格が「言ってくれれば、やったのに」だ。夫にはまったく悪気がないので、傷つけている自覚なく繰り返すセリフの一つでもある。
 
たとえば、こんな場面。妻が椅子に上って、廊下の天井の電球を替えている。そういえば、昨日切れてるって言っていたなと思い出す。心なしか不機嫌でもあるようだ。見かねて、 「やろうか ? 」と声をかけると「自分でやるからいい」と取りつく島がない。
 
しばらく経ってから「わかっているなら、やってくれたっていいんじゃない」と文句を言う。だから「言ってくれれば、やったのに」である。
 
このセリフのどこが悪いのか、男性脳にはわからない。ここにも脳の性差が関わっている。 

言わなくても察してほしい女性脳

女性脳は、大切な対象に意識を集中し、ちょっとの変化も見逃さず、相手が何も言わなくても、何を求めているか、どうすれば相手が嬉しいか、その意図を察して生きている。これは、物言わぬ赤ん坊を育てるために女性脳に装備された能力だから、「察すること」イコール「愛の証」だと信じているのだ。

「察してなんぼ」の女性脳にとって、「言ってくれれば、やったのに」というセリフは、察することを放棄した言葉であり、 「僕はあなたに何の関心もない」「あなたを大切に思っていない」と同義語なのである。
 
男性脳は大切なものに対して、習慣的に責務を果たすことを旨とする。毎月給料を渡し、毎週決まった日にゴミを出し、毎日同じように帰宅する。これが男性脳が「大切にしている」証なのだ。察する機能がついていない男性脳に察しろというのは難しい。

「言ってくれれば、やったのに」は本音であり、思いやりでもある。このような場面で、「言ってくれれば」の代わりに言うとすれば、やはり「ごめん。僕がやるべきだったね」だ。素直に詫びてしまうのが一番だ。

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