# 認知症

認知症で「カネを下ろせない人」が急増! 最悪の場合、口座凍結に…

まずは受け入れることが必要だ
週刊現代 プロフィール

パソコンのパスワードは大丈夫?

気を付けるべき点は他にもある。

「生体認証のカードも要注意です。本人が入院してしまい、暗証番号もわからないので、おカネが下ろせないというケースがよくあるのです。また、シニア世代にはキャッシュカードを持たず通帳と印鑑でおカネを下ろしている人もいます。暗証番号が思い出せない危険はありませんが、本人が入院すると家族が代わりにおカネを引き出すのは簡単ではありません。本人にはカードを用意してもらい、家族が使える『代理人カード』も一緒に作るとよいでしょう」(上田氏)

 

口座の整理と一緒にやっておきたいのが、パソコンのパスワードの確認だ。もしロックが解除できなくなってしまったらどうすればよいのか。

残念ながら、パソコンのパスワードは、メーカーに問い合わせても確認できない場合がある。ただし、メールアドレスと紐づけされたアカウントを使っていれば、他のパソコンからパスワードを変更することができる。

ロックが解除できないと致命的なパソコンのパスワードも、暗証番号と一緒にノートに残しておけば安心だ。また、そもそも、重要な情報が親のパソコンに入っていないかも、確認しておいたほうがいい。

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とはいえ、暗証番号にしてもパスワードにしても、「絶対に人に教えてはいけない」と思っていたものを共有するのは簡単ではない。特におカネの問題は、家族間の感情が絡むため難しくなる。前出の鳥居氏は語る。

「母の介護問題に直面した時、親に『あなた、いくら持ってるの?』と聞くのはハードルが高かったです。

まるで、子供が遺産を楽しみにしているかのように受け取られるのは嫌でした。ようやくおカネの話をできたのは、母の自宅介護に限界を感じ、老人ホーム入居に踏み切った時でした」

親子といえども、おカネの話は切羽詰まらないと、なかなか切り出せない。だが、暗証番号がわからなくなってからではもう遅い。親にしても、いったん、暗証番号を家族と共有してしまえば、下ろせなくなったらどうしようという不安から一気に解放される。

思い出せなくても、電話一本で聞けばいい。キャッシュカードは自分で管理しておけば、認知症になっても疑心暗鬼にならずに済む。前出の奥野氏も語る。

「認知症の人には、周りがつい、『これがやりたいんでしょ』と押し付けてしまいがちです。そうではなく、カードも自分で管理してもらい、生きがいを得られるようにしたほうがいいのです」

親も自分も、認知症を受け入れるという一歩を踏み出すだけで、心も楽になり、できることはぐっと増えるのだ。

「週刊現代」2018年12月15日号より