# 認知症

認知症で「カネを下ろせない人」が急増! 最悪の場合、口座凍結に…

まずは受け入れることが必要だ
週刊現代 プロフィール

「認知症の自分」を受け入れられない

介護や福祉に詳しい弁護士の外岡潤氏が解説する。

「銀行の窓口で『親が認知症になって暗証番号がわからない』と馬鹿正直に言ってしまうと、『認知症になったのならもう無理です』と預金を凍結されてしまうことがあります。コンプライアンスに厳しい金融機関では、名義人の意思能力が無いと判断され、融通のきかない対応をされてしまうのです」

口座が凍結された場合、銀行はまず「成年後見人」の選任を勧めてくる。

「成年後見人は、本人の利益のために財産を管理する『後見人』を選ぶ制度です。医師の診断をもとに家庭裁判所に申し立てるのですが、家族や親族か、第三者の弁護士といった専門家などが選ばれます」(外岡氏)

次に成年後見人が付けば、親名義の定期預金を引き出したり、親名義の不動産を売ったりすることが可能になる。また、家族の誰かが親の財産を使い込むことも防げる。しかし、後見人という制度そのものは、実際のところ利用しにくいと『親の介護をはじめたらお金の話で泣き見てばかり』の著者、鳥居りんこ氏は語る。

「私は、認知症の母の介護をしましたが、結局、後見人制度は使いませんでした。自分が後見人になれば、親の財産から支払ったおカネは1円単位で記録をつけ、裁判所への報告書も作る必要が生じます。また、もし弁護士に後見人になってもらっても、月々2万~6万円の報酬を支払わなければなりません。家庭裁判所の方から言われたのは、この制度は『本人の財産を守るものであって、家族のためではない』ということです」

 

さらに、後見人の選定には1~2ヵ月かかるためすぐおカネが必要な人には向かない。認知症で生じるおカネのトラブルを考えると、早めに手を打っておくことが必要だ。そのためには、認知症かもしれないと本人が感じたり、家族が気づいたときに、歳をとれば誰しもそうなる可能性があると、まず受け入れることが必要だ。

そしてそれは、認知症になった本人のためにもなると、『ゆかいな認知症』の著者であるノンフィクション作家の奥野修司氏は語る。

「経営者や商社マンのように社会的地位が高かった人が認知症になると、なかなかそれを認められない傾向があります。結果引きこもってしまい、認知症が進んでしまうことも多い。自分が認知症であることを認めオープンにすると、認知症を隠そうというエネルギーが不要になり、楽に生きられるようになります」