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「コンサルもMBAも、もはやエリートではない」現役MBA生のリアル

世界で強まる「あたらしい働き方」
鈴木 あゆみ プロフィール

MBA生の「新・王道キャリア」

戦略コンサルタントの人気が低下する一方で、今、MBA生で人気を博している職種は、テック企業の「プロダクトマネージャー」である。

プロダクトマネージャーとは、テック企業におけるプロダクトの統括責任者である。プロダクトの企画から開発、マーケティング、社内外での交渉業務、そしてプロダクトローンチ後のデータ分析等あらゆる業務を統括するポジションである。

プロダクトマネージャーは、戦略立案や企画・マネジメントスキルが身につくだけでなく、プログラミング言語等の技術的な知識も習得できるため、テック業界における要職ポジションとして人気を集めている。

現在は、「MBA卒業後にプロダクトマネージャーを数年経験し、その後に起業をめざす」というのがMBA生の王道キャリアの一つになっている。大手テック企業に限らず、MBA採用を行っているスタートアップ企業も、多くがプロダクトマネージャーの採用を行っている。また、近年ではマッキンゼーなどの大手コンサルティングファームも、戦略コンサルタントのほか、プロダクトマネジメント職を設けている。

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また、スタートアップキャリアをめざすMBA生の間では、ベンチャーキャピタルも人気のある職業の一つである。

ベンチャーキャピタルというと、もともとはファイナンスやコンサルティングのバックグラウンドのある人が就職する業界、というイメージが強かった。しかし、最近ではテクノロジー業界の台頭、特にSaaSビジネスの台頭に伴い、テクノロジー分野のバックグラウンドのある人が、ベンチャーキャピタルにキャリアチェンジをするケースも増えている。

たとえば、米国の人気ベンチャーキャピタルであるAndreessen Horowitzでは、投資業務の専門家のみならず、エンジニア出身者、プロダクトマネージャー出身者など、様々な分野の専門家を集めている。

ベンチャーキャピタルの業務は、戦略立案に留まらず、成長企業であるテック系スタートアップや、テクノロジー業界に直接関与できるという点で、戦略コンサルティングファームよりも実践的な経験が積めると考える学生が多いようだ。

また、Andreessen Horowitzに代表されるように、会社名に頼らない、スペシャリティのある人材を集めている企業が多く、企業としてのブランディングにも長けている。こうした点が、優秀なMBA学生を惹きつけている。

 

それでも私がMBAをめざしたワケ

戦略コンサルタントという職業の衰退について、現役MBA生という視点から述べてきたが、ここで筆者のバックグラウンドについて記したい。

筆者は、MBAに進学する以前、すでに起業していた。海外スタートアップ向けに日本市場向けのマーケティング支援を行っていた。

会社員時代、ロンドンで勤務していた際、日本市場への進出を検討する現地スタートアップに数多く出会った。しかしながら、彼らには日本人のネットワークや日本市場への知見がない。

そうした海外スタートアップを支援することで、世界における日本のプレゼンス向上にも貢献できると思った。スタートアップ×マーケティング×海外という軸でビジネスを展開し、これまで数多くのスタートアップ支援を手掛けてきた。

MBA留学を決めた理由は、ビジネスの知識に加え、米国のテック企業やスタートアップ、テクノロジーのデータ活用等について広く学ぶ機会が欲しいと考えていたことだった。経営者として、これまでも時間・場所に捉われない働き方を実現してきたものの、今後はより一層、リモートワークで世界中どこにいても、世界各国にいる様々な職種のチームメンバーと一緒に働く上での経験・知識を培いたいと考えていた。

近年は、フリーランスとして独立して働く人や、リモートワークの勤務形態が一般的なものになりつつある一方、理想の働き方・収入の両方を実現するためには、より高い専門性やマネジメントスキルが求められるようになることを痛感していた。

そこで米国のテクノロジー業界への理解、技術面への理解は大きなアドバンテージになると考えていた。

また、MBAで得られるネットワークも、海外でビジネスを行っていく上で、大きな強みになると考えていた。MBA以前も、ロンドン・香港で海外勤務を経験してきたため、海外企業相手のビジネスには抵抗がなかったものの、より強固な海外でのネットワークを得られることと、テクノロジー分野の知識を包括的に学べるという点で、MBAは魅力的な選択肢であると考えた。

筆者は、もともと地方出身で大学進学の第一世代であったこともあり、生まれ育ちからして、いわゆるエリートタイプの人間ではない。生まれは秋田県で、子ども時代は親の仕事の都合で北海道と東北地方を転々とした。

地元の公立高校を卒業後、東京の大学に進学するものの、首都圏の中高一貫校出身の学生の華やかさについていけず、地味な学生生活を過ごした。社会人になるまで海外とは縁遠い生活をしていた。

大学卒業後は、常に新しいことにチャレンジできる環境に魅力を感じ、当時は急成長企業であったソーシャルゲーム企業に就職した。

海外事業部門で働いていたが、ある日突然会社は海外事業撤退を決定してしまった。それを機に、自分で海外へ出てみたいと思い、香港へ渡りスウェーデン企業に現地就職をした。会社名よりも常に成長機会を優先して環境を選んできた。

米国トップスクールMBAは今、筆者のように生まれ育ちがエリートではない人も、誰もが気軽にめざせる場所になっている。