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「コンサルもMBAも、もはやエリートではない」現役MBA生のリアル

世界で強まる「あたらしい働き方」

「あたらしい働き方」という言葉が流行しているように、20代・30代の世代で今、副業やスタートアップへの勤務が一般的になりつつある。それに伴い、従来は花形であった産業にも変化が生じている。

たとえば、「戦略コンサルタント」という、かつて人気であった職業・産業が、今は斜陽産業になっている。

著者の所属するコーネル大学ジョンソン経営大学院(MBA)は、米国トップスクールMBAの一つであるが、MBA学生の間でも戦略コンサルタントという職業は、今はMBA生のメインストリームの就職先ではなくなっている。

当記事では、現役MBA生という視点から、戦略コンサルタントの不人気の要因やMBA生のキャリアのトレンドについて議論してみたい。

失われつつある「コンサル」の希少価値

冒頭で述べた「戦略コンサルタント」の不人気は、そのスキルセットの希少価値が相対的に低下してきていることが理由の一つとして挙げられる。要するに、多くの事業会社やスタートアップ企業において、すでに「元コンサル人材」があふれているため、今から戦略コンサルタントになったとしても、その後のキャリアプランを考慮すると、昔ほどの希少価値がないということだ。

10年近く前であれば、即戦力として事業会社やスタートアップ企業の要職ポジションへと転職できていた「元コンサル人材」が、今は同じスキルセットをもってして「元コンサルであること」だけを強みとして転職をしても、かつてと同様の評価は得られない。

これは米国において、より顕著な傾向であるように思う。米国では今、スタートアップ・起業がMBA生の間においてメインストリームの就職先の一つになっている。MBA以前のキャリアとして、すでにコンサルティングファームや投資銀行でのキャリアを積んだ学生の間でも、MBA後にスタートアップに就職する人が増えている。彼らは、ネットワーク構築とテクノロジー分野の知識・技術を習得するためにMBAに来ている。

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そのほか、MBA→戦略コンサルタントというキャリアを経て、スタートアップに就職したり、自ら起業したという人ももちろん数多くいる。

実際、著者がMBA在学中にお会いしたスタートアップ創業者の人たちには、MBA卒でコンサルタントや投資銀行でのキャリアのある人たちが多くいた。彼らのように、戦略コンサルタントが得意とする戦略立案・分析といったスキルをすでに持ち合わせている人材が事業会社にあふれている。戦略コンサルタントの希少価値が低下していることは、ごく自然な現象である。

また、昨今のスタートアップ・事業会社においては、MBA卒の人材が「コンサルタントを雇わずに、自分でやる」という人も多い。これは単にコスト削減が目的なのではなく、「自分で業界分析や戦略立案を全て担当した方が、自らの理解も深まるから」といった理由からである。

私がMBA在学中にお会いしたスタートアップ創業者の方々も、「外部コンサルタントは雇わずに自分でリサーチ業務を全てやっている」という方が多かった。こうした傾向は、戦略コンサルティングファームの業務領域が縮小している理由の一つである。

 

「企業の広告代理店離れ」も影響

別の観点の議論としては、米国企業(特に大企業)各社の「インハウス志向」が挙げられる。どういうことかというと、米国企業では今、外部のコンサルティング会社やエージェントを雇用せず、社内のインハウス部隊で業務を担う傾向にある。たとえば、ユニリーバ社ではマーケティング部門をインハウス化することにより、コスト削減に成功している。

従来の戦略コンサルティングファームの業務領域が縮小していることに伴い、コンサルティングファーム各社は今、デジタル・テクノロジー分野に舵を切るようになっている。たとえば、マッキンゼー、デロイトなどの各社コンサルティングファームは、広告代理店を買収することにより、デジタル分野のリソースを拡張している。

しかしながら、デジタル・テクノロジー分野での業務領域においては、競争激化が免れない。どういうことかというと、広告エージェント・代理店側も、コンサルティングファームに負けず業務範囲を拡大している。

前述のユニリーバを代表する「企業の広告代理店離れ現象」の影響を受け、かつてはコンサルティングファームのみが担っていた戦略部分の領域にも踏み込み、デジタルマーケティング分野から企業の戦略立案まで、ワンストップでサービスを提供する広告代理店も増えてきている。

コンサルティングファームと広告代理店の両者に共通して言えることは、旬の過ぎた業界とみなされてしまうケースが多いのか、近年は各社が若手優秀層の採用に苦戦しているということである。