脱税30億円を摘発!国税は芦屋の超富裕層たちの何に目をつけたのか

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摘発ラッシュが起きる

前出の高木氏は、六麓荘町のように、富裕層が密集している地域は「集中調査」の格好のターゲットになると指摘する。

「集中調査には、国税局でも税務署レベルでも、年間計画みたいなものがあります。

富裕層のもとには、証券会社や銀行、プライベートバンクの営業マンなど、いろいろな金融商品の営業が入ってくる。

たとえば、『このエリアの富裕層はみんな同じ手を使っている』という情報が入手できれば、芋づる式に一網打尽にすることも可能で、成績に繋がりやすいのです」

つまり、国税庁肝いりの「プロジェクトチーム」の実績づくりに六麓荘町の住民たちが一役買う形になったわけだが、元国税調査官で税理士の松嶋洋氏は、国税がこの町の摘発に注力したもうひとつの「狙い」を指摘する。

「ここまで具体的な金額が出てくれば、心当たりのある全国の富裕層たちも『いい加減な申告はできないな』と感じたはずです。

それに、度重なる増税で不満を感じている一般所得層に対しては、『こうして富裕層からもしっかり取っていますよ』という姿を見せて、納税意識を高めることもできる。国税からすれば一石二鳥のキャンペーンです」

富裕層への徹底課税は、世間へのアピールにも最適というわけだ。

 

そして、今回のような大規模調査が、今後は全国の高級住宅地で行われる可能性が高い。

「結局、あちこちに高級住宅街が分散している東京に比べ、関西エリアは芦屋近辺に富裕層が密集しているから調査がしやすく、早く結果が出たのでしょう。

様々な制度が整い、各国の税務当局との情報共有も簡単になっていますから、今後は海外財産までガラス張りになる。全国各地で、富裕層の摘発が増えていくと思います」(元仙台国税局長で元明治大学教授の川田剛氏)

全国の富豪たちを、「摘発ラッシュ」が待ち受けている。

「週刊現代」2018年12月15日号より