新事実発見…天王星の「横倒し自転」は巨大衝突が原因だった!

地球の2倍のサイズの岩石が…
セス・ボーンスタイン

犯人は「惑星X」か?

「天王星を横倒しにした巨大な天体は、いまでも太陽系内にひそんでいるかもしれません。遠すぎて観測できていない可能性もあるのです」とグリーン氏は推測する。

本当にそうだったら、天王星の衛星軌道の一部を説明できるだけではない。太陽系内の冥王星よりはるか遠くを公転しているとされる「惑星X」の実在を立証することにもなるかもしれないのだ。

もっと小さな(冥王星ほどの大きさの)たくさんの岩石が衝突して天王星を横倒しにした可能性もあるが、「ケグレイス氏の研究結果やシェパード氏は、未知の巨大な容疑者が1つだけ存在する、と指摘しています」とグリーン氏は語る。同氏は、一度の衝突が原因とする説は「正しい考えでしょう」としている。

この衝突が起こったのは30億年から40億年前で、天王星の5大衛星が形成されるより前だった可能性が高い。

当時は、最終的に集まって衛星となる物質が円盤状に広がっていた。そして衝突が起こると、天王星の奇妙な傾きが、重力による潮汐力のように作用して、5大衛星を天王星と同じ角度に傾けた──。これがケグレイス氏の説明だ。

さらにこの衝突によって氷殻が形成されて、それが内部の熱を閉じ込めたという(天王星の表面温度はセ氏マイナス216度)。

氷は、天王星とその隣の海王星の特徴となるものだ。NASAは10年あまり前、この2つの惑星を、太陽系内でやはり大きな惑星である土星や木星と同列に扱うのをやめて、「巨大氷惑星」として再分類した(この分類では、土星と木星は「巨大ガス惑星」と呼ばれる)。

正確に発音しないと下品な意味に?

冥王星は小さくて、太陽からさらに遠くにあり、正式には惑星から外されているが、探査の面では天王星や海王星よりも進んでいる。天王星と海王星は、ボイジャー2号がフライバイのためにちょっと立ち寄ったくらいだ。このボイジャー2号は2018年11月に太陽系を脱出している。

天王星1977年に打ち上げられたボイジャー2号が1986年に撮影した天王星 Photo by Getty Images

シェパード氏は、天王星と海王星が「最も理解されていない惑星なのは間違いありません」と語る。

しかしこの状況は変わる可能性がある。天王星と海王星のどちらか一方、または両方に向かうロボット探査機はこれまでトップクラスの惑星科学者の「死ぬまでに実現させたいことリスト」の先頭にあった。

いずれは「次にやることリスト」の一番上か、その次あたりにくるだろう。

ちなみに、天王星(Uranus)の名称はギリシャ神話の天の神に由来する。この「Uranus」は、「ユアエイナス」と発音してしまうと、「your anus」(あなたの肛門)になるので、子どもたちがよくジョークのネタにする(正しい発音は「ユラヌス」だ)。

NASAのグリーン氏は、「私が『ユラヌス』と言っても誰も笑いません」と言う。

「発音さえ間違わなければ笑われないんですよ」

(ワシントン発AP 翻訳/熊谷玲美)