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乳がんガイドライン改訂! 「患者9万6000人」時代の治療とは?

医師と協働してカスタマイズ治療を

先日、2016年に施行された「がん登録推進法」に基づいて導入された全国がん登録」による初の集計が厚生労働省より発表されました(全国がん罹患数 2016年速報リンク先で速報のPDFがダウンロードできます。それによると、乳がん患者数は、9万6000人(うち女性が9万5000人)で、女性のがんの1位となっています。

乳がんの患者さんが年々増えていることは以前より指摘されており、それを反映してか、インターネットなどでもたくさんの情報があふれています。しかし、多くは断片的であったり、難しく専門的だったりします。有名人の闘病記などもよく話題になりますが、個人的な体験談ですから、それぞれの患者さんの治療には参考になる情報ばかりとはいえないでしょう。

2018年、乳がんの診療ガイドラインが新しくなりましたが、この新しい診療ガイドラインを踏まえながら、基礎知識から最新治療までを詳しく解説した『乳がんのことがよくわかる本』が出ました。

本書で特筆すべきことは、多様な治療方法がある乳がん治療において、「自分らしさ」を大切にして、がんと向き合うという点をテーマにしていることです。自分らしくがんと向き合うということは、どういうことなのか、本書の中から少しばかりご紹介しましょう。

【写真】乳がんは、がん自体も治療方法もその人それぞれ
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よく知り、よく把握すること

日本では、乳がんの患者さんが増え続けています。新たに乳がんと診断される女性は、年間約9万5000人。その9万5000人の人の中には、診断を受ける前から「もしかしたら自分も……」と思っていた人も少なくないのではないでしょうか。

とはいえ、「本当に乳がんかもしれない/乳がんと診断された」という事態に直面すれば、不安な気持ちが募るのは当然です。乳がんを患っていたという著名人の話や、闘病体験を綴ったブログなどを読みふけり、ますます不安を強めてしまう人もいるようです。

ただ、乳がんという大きなくくりは共通していても、「あなたや、あなたの大切な人の乳がん」と「だれかの乳がん」には、違う点がたくさんあります。ほかの人の体験談で一喜一憂するより、まずは乳がんについてよく知り、自分の乳がんの特徴や状況を正しく把握しておくことが必要です。

乳がんとは

乳がんは、女性がかかるがんとしては比較的生存率が高いがんです。早い段階で見つかることが多く、治療法も進歩しているためです。ただ、乳がんは「全身病」という側面があります。乳房にしこりができる頃には、微小転移が生じており、長い年月の後に再発が明らかになることもあります。再発はどこで起きるかわかりません。

【図】乳房の構造
【図】乳がんの進み方
乳房の構造(上)と乳がんの進み方
血管やリンパ管に紛れ込んだがん細胞は体液にのってからだの別の場所に流れついて、転移がんをつくる 拡大画像はこちら

治療方法の基本メニュー

乳がんと診断されたら、原則的には手術をしますが、多くの場合、手術だけで十分とはいえません。薬物療法や放射線療法を組み合わせながら、治療を進めていく必要があります。自分の場合、どんな治療をどのような順で進めるのか、医師とよく相談しながら治療方針を決めていきましょう。

乳がん治療の色々

手術だけで治療を終えられるのはごく初期の非浸潤がんだけです。全身病としての側面もある乳がんの治療では、どこかに流れて根を下ろしているかもしれない「がんの芽」を根絶するために、薬物療法を行うのが一般的です。

【図】乳がんのステージ
  乳がんのステージ(日本乳癌学会『臨床・病理 乳癌取扱い規約 第18版』を参考に作成)拡大画像はこちら

●乳がんの標準治療

  • 局所治療 対象:ステージ0〜III
    乳がんの病巣そのものをターゲットにする治療
    • 手術
    • 放射線治療
  • 全身治療 対象:ステージI〜IV
    全身に広がっているかもしれないがん細胞の根絶をはかる治療
    • 薬物療法