「日産ゴーン事件」と「外務省・鈴木宗男事件」は酷似している

佐藤優が斬る「特捜部の思惑」
佐藤 優 プロフィール

ケリー氏の「役まわり」

佐藤:だから、私は皮膚感覚でよくわかるんです。これは憶測だけど、日産のキーパーソンとしては、私に相当するのがケリーさんだと思う。鈴木宗男さんに相当するのがゴーンさん。ゴーンさんは頑強だから落ちない。だから最初から、ゴーンさんの供述には期待していない。でも、ケリーさんは落ちると思ったんだよ。身体の調子もよくないですし。

邦丸:12月中にも手術するとか。

佐藤:あのときも、「外務省のラスプーチンなんて、こんなの所詮は小役人だから、檻の中で放っておけば青菜に塩みたいになって、ペラペラしゃべって、すぐに自動販売機になりますよ」ーーそういう話ばっかり聞こえてきたんですよ。揺さぶってみたら女性問題とか競走馬とか、出てくるに決まっていると。

検察はそういう話を真に受けて、それなら佐藤を捕れば、「鈴木のところに賄賂が行くのを私も見ていました」とか話して一丁上がりだろう、と思ったら、意外に頑強で──頑強といっても、私が罪を被って済むのならまだしも、他人に罪を擦り付けるのはよくないと思っただけですがーー512日いて、結局成り立たなかったでしょ。それと同じようなことがケリーさんにも起きちゃったんだと、私は見ている。

 

邦丸:ケリーさんはずっと否認を続けていましたよね。

佐藤:そう。落ちなかった。供述調書を取れない。検察は焦るわけです。どうしよう。レバノンに行ってもブラジルに行っても、現地で強制捜査権がないから調書をつくれない。どうしよう、どうしよう、どうしよう。あ、5年(2011年度~2015年度の報酬)と3年(直近の2015年度~2017年度の報酬)で切っているから、この3年のほうには西川(廣人)社長が関与しているんじゃないか…。すると、西川さんにもお付き合いいただかないと、となるかもしれない。5年と3年で切ったというのは、検察は「構成が違う」と言っているけど、私はそうではなくて、西川さんの関与の有無だと思う。

邦丸:へえ~~。

佐藤:憶測にすぎませんけれども。というのも、私の今までの経験から言えることなんです。

外務省の場合も、決算書には次官以下全員がサインしています。捕まったのは私と前島君(前島陽・元欧亜局ロシア支援室総務班長)2人だけで、それはあるところで線を引くわけ。要するに、鈴木宗男が怖くてサインした人と、自発的に鈴木さんに「一緒にやりましょう」と言ってやった人とでは、罪のレベルが違うということで、検察は私と前島君と東郷(和彦)さんを絡めたかった。ところが、東郷さんは外国に行っていた。

邦丸:東郷さんは、当時は何でしたっけ。

佐藤:外務省の欧州局長でした。彼は危険を察知して外国に出たんです。日産の事件で、レバノンやブラジルやオランダで調書が書けない、強制捜査権が及ばないというのと一緒です。東郷さんも、日本にいたら捕まっていた。だから今回、私にはデジャヴ、既視感があるわけです。役者を全部替えてみたら、この人がこの人と……。

邦丸:当てはまる。

佐藤:そうです。ゴーンさんのお姉さんが東郷さん。

邦丸:100万円もらっていた。

佐藤:私がケリーさん、鈴木宗男さんがゴーンさん。だから他人事とは思えない。