「乗るまでに1時間かかる」車椅子利用可能タクシーの盲点

理念のためには改善が必要では
田中 圭太郎 プロフィール

原点に立ち返るべきでは

不満の声は全国で上がっており、地域によっては車椅子ユーザーも立ち上がり始めた。名古屋市内の男性らは、改善を求める署名を昨年6月からインターネット上で集め、約1万2000人分の署名を11月29日、トヨタに提出した。

また国土交通省も、7月にトヨタにJPN TAXIの改善を「要望」していたことがわかった。

トヨタの渉外広報部は、署名が提出される以前から要望が寄せられていて、現在改良を進めていると話している。

「タクシーのお客様やドライバーから、車椅子を乗せるスロープの設置の煩雑さについてご指摘をいただいて、改良を進めているところです。改良の内容や時期は現時点ではお答えできません」

 

一方、国土交通省は11月8日、正当な理由がないにもかかわらず乗車拒否することは、道路運送法に違反するとして、全国ハイヤー・タクシー連合会に運用の改善を求める「通達」を出した。

UDとは、高齢者や車椅子ユーザー、妊娠中や子ども連れの方など、さまざまな人が利用しやすいことが認定の要件になっている。具体的にどのような要件になっているのか国土交通省に聞いてみると、乗降時間については要件に入っていないと話す。

「UDタクシー認定の要件は乗降口の大きさやスロープの角度などです。JPN TAXIは要件を十分に満たしています。現在問題となっている乗降に時間がかかるという点は、要件には盛り込まれていないので、認定する上で問題はありません」

トヨタに対して「要望」しかしていない理由を質問すると、担当者は「国交省も一緒に検討している」と説明した。

「トヨタに要望という形をとっているのは、改善には国土交通省もトヨタと一緒に取り組んでいるからです。改善はできるだけ早く、確実に進めたいと考えています」

乗用車サイズと大きさも手頃なJPN TAXIの導入は、今後も進んでいくだろう。しかし、このままでは、東京2020パラリンピックが開催された際、国内外から東京を訪れた車椅子ユーザーが困るのは間違いない。

JPN TAXIは発売から1年以上が経っている。車椅子を乗せる設備の改善、タクシー乗り場の整備など、全ての人が利用しやすいというUDの原点に立った対策が急務ではないか。