「乗るまでに1時間かかる」車椅子利用可能タクシーの盲点

理念のためには改善が必要では
田中 圭太郎 プロフィール

運転手も戸惑う

JPN TAXIに乗っている複数のタクシー運転手にも話を聞いた。どの運転手も、車椅子を乗せるための使い方を教えてもらったのは、初めて乗る時だけだったと話す。

「研修を受けたのは、最初だけです。スムーズにできたとしても、車椅子を乗せるには30分はかかるだろうと思いました。10分で乗せるには、かなりの訓練が必要でしょう。自分にはとても無理です」(運転手Aさん)

「一度しか研修を受けていませんが、複雑でまったく覚えられません。同じ会社にもできる人はほとんどいません。JPN TAXIは一般の人を乗せる分には、乗り心地がいいと評判がいいのですが、申し訳ないですが車椅子ユーザーの人に不快な思いをさせずに乗ってもらうことは無理です」(運転手Bさん)

 

また、乗車拒否をしたことがある別の運転手は、その事情を次のように話す。

「都心の路上で車椅子の方が手を挙げてタクシーに乗ろうとしていましたが、申し訳ありませんが断りました。作業に30分以上かかると思いますし、その作業を路上に停車して行うことは、交通量の多い中ではトラブルになってしまい、できません。東京2020オリンピック・パラリンピックがあることを考えれば、地下鉄の駅などにも、タクシー乗り場を作らなければ、車椅子の方を乗せることはまず無理でしょう」(運転手Cさん)

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乗車拒否には他の理由もあるという。前出の運転手は、別の運転手から聞いた内容だとして、次のように話した。

「私はまだ車椅子の方を乗せたことはありませんが、他の運転手に聞くと、深夜の掻き入れ時に1時間近くかけて乗せたけれども、移動はワンメーターだけだったことがあるそうです。降りる時間も含めて1時間以上かかって、料金は410円。車椅子ユーザーの方に利用していただきたいという気持ちがある一方で、この話を聞くと、われわれも商売でやっているものですから……」(運転手Bさん)