# マネジメント

ビル・ゲイツが認めた伝説プロがプレゼンで大切にするただ1つのこと

「あたりまえ」を疑え!

聞き手がハッピーになることだけを考える

講演会やセミナーで僕がこんな話をすると、なかには面食らう人がいます。せっかくロジカルな話し方やスマートな身のこなし方、インパクトのあるスライドのつくり方を教わろうと期待して参加したのに、いきなり北極星の話をするわけですから、それも当然かもしれません。

 

はっきり言うなら、あなたが掲げた北極星がオーディエンスを照らすことができれば、舞台装置はホワイトボード1枚で十分。もっと言えば、そんなものがなくてもいくらでも話すことができます。

僕は、軽井沢の野外でプレゼン講習を行ったことがあります。野外といっても、本当になにもない森のなか。スライドは使えないしマイクもない。そんな状況で、約50人のオーディエンスのまわりを静かに歩きながら、少し声を大きめにして話をしました。

それでも終わってみれば、「目からウロコだった」と言ってくれる人がたくさんいて、とてもハッピーな時間を共有することができたのです。

そのときのお題は「プレゼン講習」。オーディエンスのなかには、「スライドもないのにどうやって講習をするのだろう?」と思った人もいたようです。

でも、本当に大切なことはスライドなしで語れる

結局のところ、プレゼンを成功させるには、先に書いた「聞き手はどうすればハッピーになるのか」を突き詰め、それをいかに「言語化」できるかにかかっています。それなのに、ほとんどの人が自社の製品やサービスをオーディエンスに理解させることを目的としてしまいます。

うまくいくプレゼンの本質はそこにはありません。そうではなく、聞き手に「行動してもらおう」、さらには「ハッピーになってもらおう」と考えることがもっとも大切なのです。

「自分なんか……」と決して思わないこと!

これにはいくつもの先例があります。

この世に偉大なイノベーションを起こしたのは、みんなのハッピーな姿を思い描き、言語化し、「ともに未来へ進もう」と呼びかけた人ばかりでした。オーディエンスの視線の先にあるハッピーを見つめて北極星を掲げ、実際にそれを現実化していったのです。

「わたしには夢がある」

そう語りかけて、アメリカ公民権運動の指導者マーティン・ルーサー・キング・ジュニアは人種差別を批判し、黒人の地位向上を実現させていきました。

「すべての机と、すべての家庭にコンピュータを」

そう語りかけて、マイクロソフト社創業者のビル・ゲイツは画期的なOSによって、家庭とオフィスの風景を変えました。

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そして、数々のイノベーションを生み出したスティーブ・ジョブズは、このように語りかけました。

「世界を変えることはできる。そう考えるクレイジーな人が、本当に世界を変えるんだ」

大袈裟な話に感じるでしょうか?
自分には関係のない天才たちの話だと思いますか?
そこにこそ、罠があります。

「どうせ自分なんか」などと思ってはいけないのです。たしかに、彼らは天才だったかもしれません。いや、きっと天才だったのでしょう。しかし同時に、彼らは多くの人から変人と蔑まれ、時にバカ扱いされ、攻撃までされた人たちだったのです。

いったいどんな人からそんな扱いを受けたのでしょうか?

それは、あたりまえを疑わない人たちから。

誰よりもみんなのハッピーのことを考え続けていたのは、みんなと同調できなかった人たちだったということです。僕たちは、彼らから大切なことを学べるはずです。

「自分の話を聞いた人は本当にハッピーになるだろうか?」

そう問いかけることは、きっと誰にでもできるでしょう。